梅雨と傘と
遅くなりました(_ _)
終わった……
三日に渡るテストが、やっと終わった。課題も無事、創也と野上さん、唐崎さんの手伝いもあり、提出することができた。
帰ろ……
創也はとっくに帰ってしまった。
再放送のドラマが、今日最終回らしい。
何のドラマ観てんだろ──
そんなことを思いながら、職員室を後にした。
教室に戻ってカバンを持ち、教室から出る。
家庭科室からは、今日は何も香りはしてこない。
今日は活動ないのかな? 確か野上さんたちもういなかったし──
「まあ、いつもやってる訳じゃないもんね」
一人呟いて、玄関に向かった──
*
外は、雨が降っていた。
もう梅雨。あけたら夏本番。早いなぁ──
靴を履き替えて、傘立てを見る。
無い。というか、持ってきてなかった……
「はぁ〜……」
濡れて帰るか……
「松木くん……?」
この声は──
「野上さん──」
「今帰り?」
「そう。課題提出してて──野上さんも? 今日部活やってなかったみたいだけど」
「ううん。ちょっと図書室行ってて──今日はテスト終わったばっかりだから、休み。また明日から始まるよ」
「そっか。頑張ってね」
「うん──」
野上さんは頷く。
「松木くん、傘持ってきた?」
「持ってきてないんだ……濡れて帰る予定」
「はは。そっか」
「うん。野上さんは傘持ってきた?」
ちょっとだけ、視線をそらされた。
えっ? 今おれ変なこと言った!?
「……持ってきたよ」
「じゃあ途中まで入れてって? なんて──」
「いいよ」
「え──?」
今、なんて──////?!
「嫌じゃなかったら、どうぞ──//」
「ほんとに!? いいの?!」
「松木くんが、よければ……//」
「いいですいいです! むしろありがとう!」
「じゃあ、行こう……//」
「うん──//」
夢みたいだ……////
玄関から少し出て、野上さんが水色の傘を広げる。
「ちょっと小さいかも──」
「大丈夫だよ。おれが持つね」
「え? 悪いよ」
「そんなことないよ。おれが忘れたのがいけないんだから。持たせてよ──」
野上さんの傘を持つ。
「ありがとう」
「全然──」
肩を並べて歩く。
こんなに近くを歩いたのは初めてだ──
「……テスト、どうだった?」
「野上さんたちのおかげで、赤点は逃れたと思う!」
「あはは」
「野上さんは?」
「わたしも、赤点は逃れたと思う」
「あはは。なら大丈夫だね」
「うん。祭ちゃんも大丈夫って言ってた」
「そうなんだ。創也も大丈夫だって」
「よかった。また遊べるね」
「そうだね! 夏休み皆でどっか行きたいな──」
野上さんが濡れないように注意しながら、足を進める。
相合い傘って、こういう感じなのかな──……////やばっ、恥ずかしい!
「祭ちゃんね……矢倉くんが好きなんだって──」
「えっ?! ほんとに!?」
思わず、立ち止まってしまう。
「うん。ゲームセンターの日に、帰り話してくれたの」
「実はね、創也も唐崎さんが好きなんだよ」
「そうなの?」
「うん。だから、上手くいくといいなって」
「そうだね──」
野上さんと笑いあう。
…………。
あ、なんか……この感じは……////
「きゅ、急に止まってごめんね//!」
「えっ//? あ、大丈夫だよ──//」
なんかドキドキする──////!
どうしよう、顔赤くなって──
チラリと野上さんを見ると、少しうつむいていた。
「い、行こっか……//」
「……うん──//」
ゆっくりと歩き出す。
会話なんか思いつかない。
ただただ、顔が赤いのがバレないように願うばかりだった──
どうだったでしょうか、
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