表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/35

ゲームセンターへ

ゲームセンターのお話です。

また少し、進展します。

 ついに、この時がきた。

 放課後。創也(そうや)と教室を出ると、唐崎(からさき)さんがカバンをしょって走って来た。


「お待たせ!」

「おお。野上(のがみ)は?」

「それが捕まっちゃって……先輩に。片付け手伝ってって。で、先行っててって──」


 ん? ……もしかして、一緒に遊べない……?


「どうする? 先行くか?」

由里葉(ゆりは)はそう言ってたけど──」

「じゃあ、おれ待ってるよ。場所知ってるし。二人は先行ってて」

「お。なんだ? 二人きりになって何かしようってか?」


 創也がニヤつく。


「そんなんじゃ……!」

「まあ、いいんじゃない? 松木(まつき)どうせ何もしないし」

「それもそうか。んじゃ、野上と仲良く来いよ──」


 そう言って、二人は歩いていく。

 まったく……


「なんだと思ってるんだ──」


 とりあえず、野上さんが来るまで下駄箱で待とう。

 下駄箱に向かう途中で、家庭科室の前を通ると、甘い香りがした。

 飴かな──?

 野上さんが、調理している姿が頭に浮かんだ。

 フライパンで砂糖を溶かして──

 きっと、美味しいんだろうなぁ……

 そんなことを考えながら──


         *


 ぼんやりと壁に背を預けて待っていると、野上さんが驚いた顔をしてこっちに来た。


「松木くん?! なんで?」

「場所、わからないんじゃないかなと思って。だから」

「あっ……そういえば──ごめんね」


 野上さんが申しわけなさそうに謝ってくる。


「ううん。仕方ないよ。部活だしさ」

「でも……結構待ってたよね……あ。そうだ」


 ちょっと待ってね。と言うと、野上さんはカバンを開けて、小さな小包を取り出した。


「はい。飴。今日作ったの」


 コロンと手のひらに二つくれる。


「いいの……?」

「うん。待っててくれたらお礼──って言っても、美味しいかはわからないけど──」


 一つをポケットに。もう一つを口にいれる。

 うん……──


「スッゴく美味しい////」


 初めてもらえたのが嬉しくて、思わず笑ってしまう。


「ほんとに? 良かった……//そう言ってくれると、嬉しい──//」


 野上さんの頬が、うっすらと桃色に染まる。

 あぁ、可愛い──

 初めて見た照れた顔が、キュンッと胸を締め付ける。

 

「行こっか──」

「そうだね。(まつり)ちゃん怒ってるかも……」

「大丈夫だよ。創也もいるし」

「それもそっか──」


 野上さんはクスッと笑った。

 それから、部活の先輩の話や友達の話、面白い話をしながらゲームセンターに向かった──


         *


 ゲームセンターに着くと、創也と唐崎さんは太鼓のゲームで勝負していた。


「はい。俺の勝ち──」

「あ〜! もう一回! 絶対次は勝つ!」


 唐崎さんは悔しそうに太鼓を叩く。


「わかったよ。もう一回だけな──」

「やった! もう本気出すんだから!」

「さっきもそれ言ってたぞ?」

「本気の本気なの!」


 楽しそうにやっていた。

 野上さんの方を見ると、微笑んで二人を見ていた。


「……おれたちも何かやる?」

「そうだね。祭ちゃん楽しそう──」

「うん」


 創也も楽しそうだ。まるで……


「カップルみたい──」


 野上さんが呟いた。

 確かに。カップルみたいだ。

 もしかしたら、おれたちもそう見えるのかな……


「邪魔しちゃ悪いから、移動しようか」

「え? いいの?」

「あ……ダメかな?」

「そんなこと……! むしろおれでいいの?」 

「うん。松木くんといると楽しいし」

「ほんとに?! おれも野上さんといると楽しいよ!」

「ほんと? 良かった……//」

「じゃ、こっち。可愛いぬいぐるみあるよ」

「ほんと? 見たい」

「うん──!」


 よし! 野上さんにぬいぐるみプレゼントだ!


「わあ……可愛い……!」

「でしょ? 野上さん好きかなって思って」

「うん! 大好き──」


 野上さんはキラキラした目でぬいぐるみを見つめている。

 よし──


「どれが欲しい?」

「え? えっと……あれがいい! 黒ウサギ」

「わかった! ちょっと待っててね──」


 小銭の投入口に二百円をいれる。

 

「頑張って!」

「うん!」


 レバーを動かして、目的の黒ウサギの上にアームを動かす。


「……よし。いけっ──!」


 アームがゆっくり下がって、黒ウサギを挟み込む。


「お──」


 そして、黒ウサギを取り出し口に落とした──


「やった! はい、黒ウサギ」

「ありがとう! 大切にするね!」

「うん───」


 昨日やりに来た甲斐があった。

 良かった〜! 自分の部屋にあるぬいぐるみにかけたお金が、野上さんの嬉しそうな顔に変わったんだと考えれば、三千円なんて安いものだ!

 気づかれないように、小さくガッツポーズする。


「よ。お二人さん──」

「創也」

「由里葉」

「祭ちゃん」


 二人が後ろから来ていた。


「来たなら声かけろよ」

「そうだよ。メールしたのに」

「はは、ごめん」

「気づかなかった──ごめんね」


 野上さんは携帯を見てから謝った。


「でも、邪魔しちゃ悪いと思って……ね?」

「そうそう。仲良くやってたから」

「……それは──//」


 と創也が目をそらす。

 ……創也?


「たまたまよ! たまたまやってたの!」


 唐崎さんもなぜか目が泳いでいる。

 もしかして……


「そうなんだ……。ごめんね、声かけなくて──」


 野上さんは気づいてないのか、シュン……と黒ウサギを抱きしめている。

 まあ、いっか──


「そうだ。プリクラ! プリクラ撮ろうよ。今日の思い出っていうことで!」

「いいね! 撮りたい! 撮ろうよ。祭ちゃん、矢倉(やぐら)くん」


 野上さんが賛成してくれる。


「いいよ! 撮ろう撮ろう!」

「そうだな──」


 二人も賛成してくれた。

 四人でプリクラを撮った。そして、時間もいい感じなのでそれでお開きになった。

 今日は野上さんといっぱい話せて良かった。野上さんも楽しそうにしてたし。

 一つ気になるのは、創也の態度だけど、まあ深い意味はないのかな──?


 


 



どうだったでしょうか、

感想批判評価などなど、よろしくお願いします(_ _)

すると喜びます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ