【おまけ】バレンタインデー
本編ではないので、書き方が違います。
バレンタイン。
二月十四日。バレンタインデー。
由里葉と祭は、それぞれ呼び出して頑張っていた──
*
「悪い、待たせた」
「全然全然、大丈夫──」
中庭のベンチがある所に、祭は創也を呼び出した。
チョコの入った手提げを持った手を後ろに回したまま、祭は話し出す。
「さて……問題です! 今日は何の日でしょう!」
「……バレンタインデー」
「正解! そんなあなたに、ち、チョコをプレゼント!」
と手提げから丁寧にラッピングした小包を創也に渡す。
「サンキュー。手作り?」
どっこいしょ、と創也はベンチに座り、小包を祭に見せながら訊く。
「そう。由里葉と作ったの──っと」
と祭も隣に座る。
「食べて食べて」
「はいはい。じゃ辛口評価で」
「えー……」
「まあまあ──」
とラッピングを外して、小包から一つ出して口に放り込む。
「どう……?」
「うん……ちょっと固いな」
「えっ、固い?! ごめん……」
「謝らなくていいさ。気持ちだけで十分」
「じゃあ物はいらないってことじゃん」
「そんなこと言ってないだろ」
それでも祭はぷっくりと頬を膨らませている。
「祭」
「なに……」
「ありがとう。おいしいよ」
そう言って創也は笑った。
「あ……//当たり前じゃん//! お返し期待してるから//」
「考えとく」
「考えとくじゃないでしょ! ちゃんとちょうだいよね」
「はいはい──」
と返事をしながら、もう一つ口に放り込むのだった。
*
由里葉たちはというと、教室にいた。
「幸多くん、はい」
「え? いいの?」
「もちろん。祭ちゃんと作ったんだよ」
「へえ」
受け取って、眺める。
「どうしたの?」
「いや、嬉しくて……//」
「あはは//食べてみて」
「うん──」
袋の口を開けて、一つ食べる。
「ん……、おいしい! ありがとう由里葉」
「どういたしまして//」
と由里葉は恥ずかしそうに笑う。
「あ、そうだ。おれも作ってお返しするね」
「え。幸多くん作れるの?」
「わかんないけど……、本見て作るから!」
「そっか。楽しみにしてるね//」
「うん。頑張るよ!」
と幸多はガッツポーズしてみせた。
*
ゆずるは、下駄箱にいた。
「気持ちだから、いいよね……。うん、大丈夫──」
と幸多の下駄箱を開ける。
「……でも今時下駄箱に入れるのって──」
古い? 汚い? 迷惑かな……いや、でもせっかく作ったんだし、食べてもらいたいし……////
「……えいっ──//」
と下駄箱に紙袋を入れて閉める。
「入れちゃった……」
キュッとカバンの持ち手を握りしめ、ゆずるは呟く。
「『おいしい』って、言ってくれますように……──よし//」
そして、その場を離れた。
本当は今日中に感想が欲しいけれど、それは無理だとゆずるはわかっているので、静かに自分の下駄箱に向かうのだった。
*
「遺波くん! はい、ハッピーバレンタイン──」
ドサッと机の上に、様々な種類のチョコが置かれる。
それを見て、遺波は苦笑いする。
「えっと……多くないか?」
「決められなくて……ははは」
と彼女は頭を掻く。
「嬉しいけどさ……」
と手近のチョコを一つ食べる。
「おいしい?」
「うん、うまい。……けど──」
「けど?」
「手作りがよかったかな」
「あぁ……はは」
「……来年、期待してる」
「ぁ……わかった!」
遺波は目の前のチョコを分けながら、
「多いから食べてよ?」
と彼女にも渡す。
「やった! 食べる食べる──」
「それが狙いか?」
「バレた?」
と舌を出した彼女を見ながら、これだからなぁ……と遺波はチョコを食べるのだった──
次回、ホワイトデーの話を。




