【おまけ】暗闇の中で
おまけです。本編とは書き方が違います。
文化祭二日目のお化け屋敷のお話。
「お化け屋敷は、二人一組でお願いします──」
お化け屋敷の案内人が、幸多たちに言った。
「どうする?」
「どうしよっか」
「男同士で入るのもあれだし、ここは男女で」
と創也が提案する。
「じゃあ、野上さん、よければおれと……」
「うん」
「じゃあ、唐崎はおれとな」
「わかった」
というわけで、幸多と由里葉。創也と祭が一組になった。
「それでは、中へどうぞ──」
案内人に促され、まずは幸多たちが中に入った。
幸多がライトを手にし、若干後ろを由里葉が続く。
「結構暗いね、大丈夫?」
「う、うん」
足元を照らしながら、由里葉のペースに合わせて進む。
「ぁ、あぁ、たずげっ──」
前から、包帯をぐるぐる巻きにした男子が歩いてくる。
「っ?!」
「ひっ──」
キュッと由里葉が、幸多の制服を掴む。
「ご、ごめんね……//」
「大丈夫大丈夫//」
すると、包帯をぐるぐる巻きにした男子は、
「この先、要注意……」
「「…………」」
そう言って、男子は幸多と由里葉の脇を通り過ぎていった。
「要注意って、言ってたよね?」
「……うん。言ってた」
しばらく沈黙してから、幸多が気を取り直すように言う。
「大丈夫だよ! 文化祭でのお化け屋敷なんて、本物じゃないし……野上さん?」
「ま、松木くんっ……前──」
「え……?」
前を見ると、特殊メイクというのだろうか。それを施した男女が数名、いかにもな動きをしながらこっちに向かってきていた。
『うおおあああああ──!!』
「わあああああああ──」
「いやああああああ──」
あまりにも幸多と由里葉が叫んだので、お化け役の人はリタイアを勧めるのだった。
*
「……すっげえ悲鳴聞こえたけど」
「あ、先ほどの二人はリタイアしたらしいので、中へどうぞ──」
と案内人は教室の中から伝言をもらったのか、ライトを受け取り、創也に渡した。
「リタイアしたのかよ……。ま、大丈夫だろ」
「そう、ね」
二人は中に入った。
「先行くか?」
「普通男子が先でしょ」
「怖いのか?」
「こわ、くないって言ったら嘘になるけど……矢倉が先行って」
「そ。じゃ、どんどん進むぞ」
と創也はすたすた歩いていく。
「ちょっ、早いよ!」
「普通だろ」
すると、さっきの包帯男子がやってくる。
それを創也はするりと避ける。
「たずげでええええ」
ともちろん後ろの祭の方に向かっていく。
「ひゃああああああ──」
と祭は泣きそうな声を出して、包帯男子を避けると創也のもとに駆け寄る。
「早いってぇっ! バカっ!」
「ごめんごめん」
と軽く創也は謝る。
すると、包帯男子が後ろから声をかけた。
「この先、要注意……」
「……要注意だってよ」
「要注意って……」
と祭は見つけてしまった。特殊メイクを施した男女たちを。
「ひっ……」
「ん? お。本格的だな」
「じゃないでしょっ! 早く行かなきゃ来ちゃうよっ!」
「さっきと言ってること逆じゃね?」
と創也は祭を見た。
祭は本当に怖いのだろう。泣きそうな顔をしているのが、暗闇の中でもぼんやりとわかった。
「……じゃ、走るか。ライトで照らしながらなら行けるだろ」
「ついていけないよっ」
「大丈夫だって。それに……こうすれば、置いていくことはないし」
と創也は祭の手をとる。
「な?」
「……うん//」
と祭は小さく頷いた。
「行くぞ──」
そう言って、創也は祭を引っ張って走り出す。
特殊メイクを施した男女たちは、二人の急な動きについていけず、戸惑うのだった──
「ゴール!」
「……はぁっ、終わったっ……」
ゴール直後。自然に手を離して、創也と祭は息を整える。
「はぁ……。意外と、怖がりなのな」
「むっ……普通だよ//! 普通//!」
と否定するも、祭の顔は赤く染まっているのだった──
次回、創也の告白のお話。
ではまたいつか。




