表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/35

【おまけ】それだけで

おまけです。

本編ではないので、書き方が違います。

ゆずるのお話。

 幸多(こうた)から、由里葉(ゆりは)に告白したということを聞いてから、ゆずるは静かに毎日を過ごしていた──


         *


「……ふぅ。面白かった」


 ある日の放課後、ゆずるは読んでいた本の最後のページを閉じて、席を立った──


         *


 図書室に行くと、数人の生徒しかいなかった。

 ゆずるは返却ボックスに本を入れて、借りる本を探すため棚に向かう。


「……ぁ」


 そしてゆずるは、いつも見ていた人物を見つけた。

 その人物もゆずるに気づいたのか、笑って近づいてくる。


実川(みかわ)さんも本借りに来たの?」

「うん。……幸多(こうた)くんも?」

「そう。ちょっと調べ物──実川さんは何借りるの?」

「私はまだ探してる途中」

「そっか──」


 と幸多は頷いてから、思いついたように言う。


「じゃあ、おれがオススメの本紹介しようか。もう読んでたらあれだけど……」

「え? でも今探してるんじゃ?」

「いいのいいの。もう見つけたから──」


 と本を見せる。そして、


「じゃあ、ちょっと探してくるから、待ってて──」


 と行ってしまう。

 

「待っててって……」


 ゆずるはどうしようか考える。

 とりあえず、近くの棚から目をとおし始める。


「…………」


 しかし、自然と幸多に目がいってしまう。

 幸多は、どれだっけ……と言いながら背表紙に手を当てながら探し、時折本を手にとって確認していた。


「お──実川さん、こっちこっち! あったよ──」


 と見つけたのか、幸多が笑顔で呼ぶ。

 

「幸多くん、ここ図書室だから……!」


 ゆずるは数人の生徒から鋭い視線を感じながら、幸多のもとに駆け寄る。

 向かいながらちょっとだけ、カップルに見られたりして……//と思いながら──


「はい。これ」


 とんっと、ゆずるの手に幸多は本を乗せる。


「面白いから、きっとハマると思うよ」

「ありがとう……//」

「うん。じゃ、おれもう戻るから」

「ぇ……?」

「うん?」

「……そうだよね、何でもない──」


 とゆずるは本を抱きしめる。

 これから先、こうして話せる時間は限られているだろう。


「じゃ、またね」

「幸多くん……!」


 とゆずるは、ドアに向かい始めようとした幸多に声をかけた。


「……また、オススメの本、紹介してくれる……?」

「もちろん! じゃ、またね。実川さん」

「うん──//」


 幸多はひらひらと手を振って、今度こそ出ていった。


 ゆずるは、本を抱きしめたまま呟く。


「わかってる……」


 私はもう、彼女になれないから。

 ……だから、そっと陰から見たり、たまに会話を交わせるだけで──


「十分……」


 そう呟いて、ゆずるは小さく微笑むのだった── 

  

次回、またいつか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ