新年
本編の最終話となります。
大晦日。
夜、初詣に行きます。
創也と野上さん、唐崎さんと。
で、今はおれの部屋で、創也といる。
「……初詣」
「今日だろ?」
「うん。楽しみだなぁ」
思わず、顔がにやけてしまう。
あぁ……//
両手で顔を覆う。
「何してんの?」
「嬉しすぎて──」
「……バカか」
いいさ、バカでも。
だって、気持ちが一緒だってわかったんだから。
「そういえば、創也たちはどうなの?」
「は? ……付き合い始めたけど」
「へ? ……えっ!? いつの間に?」
「お前が知らないうちに──」
と創也は何とも無しに言った。
「どういう風に告白したの?」
「言うか//!」
「ええ? 言ってよ」
「言わねえよ。そういうお前はデートとか誘ったりしてんのかよ」
「してない」
「あれから?」
「うん──」
誘ってないし、野上さんも色々あるだろうと考えると、なかなか連絡できないし……
「じゃあ、手繋いだりとかしてないのか?」
「うん。てか、今日ひさしぶりに会う」
「……それ、付き合ってるって言えるのか?」
「え?」
「野上、実はわかってないんじゃないか?」
「…………マジで?」
「いや、知らんけど」
「…………」
確かに、付き合ってとは言わなかったけど……。
「『付き合って』も言った方がよかったかな?」
「言ってなかったのか?」
「……うん。創也言った?」
「流れ的に言ったわ。その方が返事しやすいだろ」
「ぁ……だから野上さん、好きしか言わなかったのか──」
なるほど……じゃあ、交際申し込まなきゃダメか……
「今日、言おう──」
「幸多……」
「ん?」
「……頑張れよ」
若干創也が、呆れたように笑った気がした──
*
夜、創也と一緒に近所の神社に向かった。
首には、野上さんからもらったマフラーを巻いて──
「待たせた」
「お待たせ──!」
「遅いよ」
「こんばんは」
二人もマフラーを巻いていた。
でも、ちょっぴり頬が赤くなっていた。
「ごめんね、創也が」
「俺のせいにすんなよ──」
「いいよ、それよりまだ時間あるし、甘酒飲もう!」
「祭ちゃん、飲み過ぎないでね」
「そんな飲まないよ?!」
唐崎さんがちょっとびっくりしながら、野上さんに言った。
野上さんは、冗談だよ。と笑った。
甘酒コーナーに行くと、委員長が両手に甘酒を持っていた。
心なしか、キョロキョロと落ち着きがない。
「井藤じゃん。どうしたんだ?」
「おお……。ひさしぶりだな。ちょっと彼女がどっか行っちゃったみたいで。全く……矢倉たちは初詣か?」
「そう。そっちは大変そうだな」
「ああ……。もう少し話したいけど、探さないといけないから。じゃ、また来年な──」
と委員長は笑って行ってしまった。
いつもとちょっと違う委員長が見れて、少しポカンとしてしまった。
「……何か、委員長いつもと違ったね」
「彼女さん、どんな人なんだろうね」
「意外と自由人だったりしてな──」
「それは大変だ……」
「はい。祭ちゃん──」
いつの間にか、野上さんが甘酒を持ってきていた。
「ありがとう。由里葉!」
「どういたしまして──」
野上さんはにっこり微笑んだ。
あれ? これっておれたちの仕事じゃない?
創也を見ると、あ。というような顔をしていた。
「はぁ〜、温かい。由里葉にも一口あげる」
「ありがとう──ん。温かい」
やっぱり仲良いな──。
「飲むか?」
「え? いいよ……」
「あっそ──うま」
と創也もいつの間にか甘酒を持ってきてたのか、静かに飲み干した。
「……じゃ、次はおみくじ引こう!」
「うん!」
気づくと、唐崎さんのペースになっていた。
おれたちは二人の後ろをついていく形になっている。
「じゃ、先にっ──?!」
走ろうとしたのか、唐崎さんは地面の出っ張りにつまずいて、前のめりになる。
「……っにしてんの──」
素早く、創也が腕を掴んで止めた。
あまりの速さに、おれは思わず拍手していた。
「ナイス創也」
「ナイス矢倉くん」
「……どうも。てか、下よく見ろ」
「ごめん、ありがと……//」
唐崎さんはうつむいたまま言った。
いざという時、おれはそんな風にできるだろうか……。
おみくじ売り場には、結構な人がいた。
「幸多くん──」
「ん? 実川さんだ──ちょっと行ってくる」
「幸多」
「報告、してくる」
創也に言って、そっと野上さんたちに気づかれないように実川さんの所に向かった。
実川さんの所に行くと、実川さんはいつものように笑っていた。
「幸多くんも来てたんだ」
「うん──実川さん」
「ん?」
「ちゃんと、告白したよ。野上さんも、好きって言ってくれた」
「……そっか。よかった──」
実川さんは、自分のことのようにほっと息を吐いた。
「じゃ、私友達と来てるから」
「うん」
「……また、前みたいに話しかけてもいい?」
「もちろん」
「ありがとう……//じゃ、またね」
「うん。また──」
実川さんははにかんで、小さく手を振って背を向けた。
そして、一瞬下を向いてからパッと頭を上げると歩き出した。
そんな実川さんを見送って、おれも来た道を戻りはじめた。
おみくじ売り場に戻ると、三人はもう買って見ていた。
「……ただいま」
「おう。お前もおみくじ買えば」
「そうだね──」
一回二百円。
くじを引いて、同じ番号の棚から紙を取る。
「……」
「どうだったよ」
「中吉」
「中吉? 何とも言えないね。ちなみに、由里葉と同じ大吉の三人!」
「うそ……おれだけ仲間外れ?!」
「まあまあ、いいじゃない」
「仕方ねえよ」
「松木くんドンマイ」
「……うぅ」
野上さんまで……
ま、運なんて自分の気持ち次第だもんね! 関係ないない──
ポケットから携帯を出して、時間を確認すると、あと三分で新年だった。
「あと三分だ」
「じゃ、お参りしないとな──祭、先行くぞ」
「え?」
「いいから──」
そう言って、創也は唐崎さんの手を取って歩いていった。
気を使ってくれたんだな……後でお礼言わなきゃな──てか、いつから名前呼びに?
「……行っちゃったね」
「ぁ……うん」
……よし。頑張ろう──
「野上さん」
「ん?」
「突然なんだけど、おれらは……付き合ってるの//?」
「ヘ//? えっと……付き合って、るの//?」
「だよね、返事困ったよね……だから」
ちゃんと言うよ──
「おれと、付き合ってください////」
「…………はい////」
「やった……//! じゃ、あの、由里葉って呼んでいい……//?」
「うん……//わたしは、幸多くんでいいのかな//?」
「もちろん──////! じゃ、創也たちのとこ行こっか//」
遠慮がちに手を差し出すと、のが……由里葉はそっと手を掴んでくれた。
こそばゆくて……でも、これからこういうのが当たり前になると思ったら、胸が高鳴った──
創也たちと合流すると、もう年は明けていた。
そして、新しい日々の幕開けを感じた──
付き合うのが目標なので、本編はこれで終わりです。
しかし、おまけ?でやってない話を投稿しますので、まだ本当に終わりではありません。(球技大会やバレンタインetc.)
それでは、休日かいつかにまた投稿します。




