準備の始まり 2
委員長、登場。
委員長の席には、野上さんと唐崎さん、おれと他に数人が集まっている。創也は接客担当なので、接客担当と集まっている。
「で。お菓子は女子たちで考えてくれればいいと思うんだけど。大丈夫か?」
「大丈夫大丈夫。ね──」
と唐崎さんが笑って、皆に笑顔を向ける。
「大丈夫。委員長はお金を割り振って。私たちで何とかするから──」
他の女子も笑って頷く。
「それは助かる。じゃあ、お金は決めてくるから、内装外装を決めよう。色んな人たちが来ると思うから、明るい感じがいいと思うんだ。どうかな?」
委員長はテキパキと話を進めていく。
それを見て、スゴいなぁと思う。
同じ男子だけど、やっぱり委員長はカッコいい。
クラスをまとめられるし、しっかりしてる。
先生にも臆せず意見を言えるし……おれとは違う。
「松木はどう思う? やっぱり、ピンクばっかじゃ入りにくいよな。俺は入りにくいと思うんだけど」
「あ、そうだね。オレンジとか黄色なら、入りやすいかも」
「だよな。じゃあオレンジとか黄色の暖色系にしよう。外装やりたい人いる──?」
皆に声をかける。
「ウチやるよ」
「ワタシもー」
数人の男女が手を挙げた。
委員長はよし、と頷いて
「じゃあ、暖色系でよろしく」
と紙にまとめていく。
「内装は……落ち着けるような感じがいいな……」
「あんまり派手にしないで、ちょっと飾る位がいいんじゃないかな?」
野上さんが提案する。
「そうだね。机を四つで一組みにして、上にテーブルクロスをかければいいか」
「うん。テーブルクロスを柄入りのにすれば、可愛いかも」
「うむ……そうしよう。コスト削減にも繋がるしね。そしたら、お菓子にお金を回せる。決定だな──」
と委員長が笑って頷く。
野上さんもうんうんと、微笑んでいた──
*
「なんか……今日はあんまり野上さんと話せなかったな──」
帰り、創也と話しながら歩く。
「何で? 料理担当で同じになったんだろ?」
「そうだけど……委員長と話してたから──」
内装外装の担当も決まってから、内装について野上さんと委員長は話していた。
だから、声をかけられなかった。
「あぁ、井藤か。しっかりしてるよな。指示も的確だし、丁寧でわかりやすい。一部の女子から人気あるし。男子からも信頼されてる──」
「はぁ……」
なんか、全部負けてる気がする……
「なんだ? 野上と話してんのが羨ましいのか?」
創也が笑って言ってくる。
「うーん……いつもっていうか、だいたい男子と話してるの創也だったから、なんか……違和感? がある……」
「あー。嫉妬か。俺と話してくれーみたいな」
「……そうなのかな?」
嫉妬してるのか……?
確かに、委員長と楽しげに話してるのを見ると、なんか落ち着かなくなるし……おれと話してほしいと思うけど……
「嫉妬だろ──ま、まだ始まったばっかだし、焦らずやろうぜ」
「うん……。そうだよね! 頑張るぞ!」
おれは拳を握って、空を見た。
空はキレイな夕焼けだった。
だけど、なぜか胸がざわついた──
次回から、文化祭関係。
小さな波乱?の予感……