休みが終わり──
遅くなりました。ちょっと短いかもしれません。
「あぁあ……終わっちゃった──」
机にダレながら、一人呟く。
窓の外に目を向けると、木にセミがとまっていた。
「暑い夏も、終わりが近いかも……」
「そうだな──秋は、体育祭に文化祭。行事が詰まってるぞ。んで、冬は球技大会」
「ホントだよ……あっ!」
ガバッと体を起こして、創也を見る。
創也は頬杖をついて、こっちを見た。
「今思ったんだけど、体育祭でカッコいいとこ見せられるよね!?」
「上手くいけばな」
「それで、野上さんが、松木くん、カッコいい……! みたいになったら、おれ死んでも良い!」
「想像すんのは簡単だろ。実行できなきゃ意味ねえじゃん」
「確かに……」
でもなぁ……
「良いとこ見せたいじゃん?」
「そうかあ?」
「唐崎さんに、カッコいいとこ見せたくないの?」
「そりゃ見せたくないわけじゃない」
「じゃあ何?」
創也は、そりゃお前……と頬杖を止めて言った。
「カッコいいとこばっか見せて、失敗したときに幻滅させたくないだろ。だから、多少は自分のダメな部分も見てもらいたい」
「そっか──」
そういう考えもあるのか……
「じゃあ、カッコいいとこ見せてから、失敗すればいいかな」
「それじゃただの失敗だろ」
「そっかぁ……」
「まあ、その時になってみないとわかんないぞ」
「だよね──」
また机にダレる。
すると、頭上から声が降ってきた。
「なに松木。今になって夏バテ?」
体を起こして前を見ると、唐崎さんが首を傾けていた。
「ちげえよ。野上に良いとこ見せたいんだってよ」
「そんなこと?」
「そんなことってヒドくない?!」
「ヒドくないよ。いつも通りに頑張ればいいの。良く見せよう良く見せようってやったら、逆におかしいから」
と唐崎さんは首を振る。
「だいたい、意識しないでやった方が、女子からの好感度は高いよ。カッコよく見せようってやってると、アイツカッコよく見せようとしてるなってわかるから」
「そうなの!?」
「そう。だからさり気なく、女子から見ても、頑張ってるなぁっていうほうが、好感度は高いね」
「へえ! 勉強になります──」
頭の隅に入れておこう。
これで野上さんのハートをキャッチだ。
「何の話?」
そこに野上さんが来た。
「男子が、女子にどう見られてるかっていう話」
「へえ──」
唐崎さんが上手くごまかしてくれた。
でも大差はないか。
近いのは体育祭。野上さんに、好印象持ってもらえるように、頑張るぞ──
次回、体育祭か、その前日です(_ _)