プールに行こう!
プールに行くことになったが?
課題も終わり、夏休みも中間にさしかかる頃、創也から電話がきた。
『あ、幸多?』
「うん。どうしたの?」
『今日空いてるよな?』
「え? ……まあ──」
部活に入ってるわけでもないので、用事もない。
『じゃあ、プール行くぞ』
「プール?! 何で?」
『泳ぎたいだろ? 野上たちも来るぞ』
「野上さんも?!」
『そ。来るだろ?』
「もちろん! 準備してくる!」
携帯を切って、クローゼットの中を漁る。
「水着あるかな──あった!」
ちょっと、古臭い? まあいっか。
リュックに色々詰め込んで、家を出た。
*
「はあ……暑い──」
セミがこの前より騒がしく鳴いている。というかうるさい。
「創也──」
「よ。来たか。唐崎たちは、先行ってるって」
「そっか。楽しみだな」
「水着が?」
「なっ?! 違っ……」
でも見たくないと言えば嘘になるし……
「……わないけど////」
「そりゃ男子だもんな──」
と創也が笑う。
なんだよ……
「そういう創也は唐崎さんの水着が目当てなんじゃないの?」
「はっ?! なわけないだろ//」
「怪しい──」
「っ……//行くぞ──」
と創也は先を歩いていく。
「はいはい──」
照れを隠す創也がちょっと面白くて、おれは苦笑いした──
*
朝丘プールは広く、家族やカップルが多く訪れる。
とりあえず水着に着替えて、創也が唐崎さんと決めた待ち合わせ場所に行くと、かき氷屋の前で唐崎さんがオロオロしていた。
「待たせた。野上は?」
「まだ来てないみたい……」
「一緒に来たんじゃないの?」
「ううん。今日は由里葉が遅くなるから、別々で来たの。迷子かな……」
と唐崎さんが不安げに胸の前で手を組む。
「場所知ってるんだろ?」
「そうだと思うけど……広いし──」
「今日暑いよね……」
「とりあえず探そう。ここ呼び出しとかないから」
「そうだね! 唐崎さんは待っててもらって、おれらで探そう」
「ああ」
「わかった……」
唐崎さんをかき氷屋の前に残し、創也と別れた──
*
「暑い……」
汗が滲み出る。
野上さん、大丈夫かな……
ふと空を見ると、太陽がまぶしかった。
「熱中症になってないといいけど……」
周りを見ながら探す。
カップル、家族、子ども……
野上さんは見つからない。
「どこだ──?」
その後も、色んな出し物をやってる屋台を覗いたり、唐崎さんの所に戻ったりしたけど、野上さんはいなかった──
*
「はぁ……っつい──」
探し始めて数十分……。
脱衣場の近くで、少し休憩していた。
「……はぁ──野上さん……」
「松木くん……?」
後ろから、聞き慣れた声がした。
「え……?!」
振り返ると、水色のビキニを着て薄い白のパーカーを羽織った野上さんが、少し首を傾げていた。
「ごめんね、遅くなって──」
「よかった……」
「え?」
「今日暑いから、熱中症になってたらと思って……」
あー……よかったぁ──
思わず笑顔がこぼれた。
「……//」
「大丈夫? 野上さん顔赤いよ?」
「え……//? 大丈夫だよ//今日暑いから……」
と野上さんは顔を触る。
「そっか……なら──」
フラッと、立ちくらみがした。
「松木くん!」
「あ……ごめん──ちょっと水分とってなかったから……」
危なかった……。野上さんに倒れるとこだった──
「ちょっと待ってて──」
と野上さんは言うと、サッと走って行った。
少しすると、缶ジュースを持った野上さんが戻ってきた。
「ごめんね、松木くん。はい──」
スポーツドリンクをもらった。
嬉しい……//
「ありがとう──冷たい……気持ちいい」
おでこに当てて、目を閉じる。
あぁ……生き返る──
それを飲んで、野上さんと待ち合わせ場所に向かった──
*
「由里葉!」
「ごめん、祭ちゃん。遅くなっちゃって……」
「ううん! よかった──」
唐崎さんは満面の笑みで、頷いていた。
「お。居た──」
創也も戻ってくる。
汗が滲んでいた。
「ごめんね、矢倉くんも……」
「いいよ。合流出来たんだし」
「じゃ、泳ご! もう暑すぎ」
「そうだね! 泳ごう!」
「うん」
「ああ──」
その後は、思い思いにプールを楽しんだ。
創也と唐崎さんも、少しずつ距離が縮んでいる感じだし、野上さんも楽しそうだった。
でも、日焼けしたところが痛いのは、ちょっとツラい……──
次回も夏休み中のお話。
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