南の平原と道
9話目です。
今回は何時もの半分と短いです。明日も短くなるかもです。
東の森から南へ向かって進んでいた俺たちの目に、パーティを組んで狩りをしているプレイヤーの姿が見えるようになってきた。人が少ない場所で戦おうというマサトの考えで、俺たちは普通なら向かう南の平原を無視していきなり西の草原で狩りを行い、マサトのおかげで無理なく狩ることができていたので後続が追いつく前に東の森へ行くことになった。そこで1つのパーティを見かけたが、彼らは奥へ進んでいったため俺たちが他のパーティの戦いを見るのは初めてだったりする。
ヒツジ型のモンスターを剣や斧を装備したプレイヤー6人のフルメンバーで倒している。たぶん生産をメインにしている人たちなのだろう、彼らは誰がモンスターの攻撃を受けて耐えるということはを考えずに、やられる前にやれ。という様子でモンスターを囲って手に持った武器を縦に振り下ろして攻撃している。フリスタではパーティを組んでいてもプレイヤーの攻撃が当たってしまうとダメージを受けてしまうので、味方にあたらないように横に振らないようにしているのだろう。
それ以外にも、ウシ型のモンスターを同じように囲んで倒しているパーティもある。その様子を見て思ったことは、今まで出会わなかっただけで実はこんなにもプレイヤーはいたのかということと、自分たちが戦える分のモンスターがいるのかということだ。
「人がいっぱいいますね・・・」
「いっぱいいるなあ・・・」
「素材集められそうにないですね・・・」
「集められそうにないねえ・・・」
はっきりいってこの現状は予想していなかった。2日目になったのだから南側で狩りをしているプレイヤーは少ないだろうと思っていたのだが、俺たちは狩りをしているプレイヤーたちの様子を遠くのほうから眺めるだけしかできていない。今までどこにこれほどのプレイヤーがいたのかというほどの数多くのプレイヤーが戦っているのだ。
「この状況で沸いた(新しいモンスターが出てくること)やつを倒すと絶対何かいわれるよな・・・」
「というか、たぶん1匹が沸く範囲をだいたい1つのパーティが確保している感じだな」
話し合いをしていた俺たちの前で、新しく沸いたヒツジに群がっていくプレイヤー。少しパニック映画のゾンビのように見えてきた・・・
しかたなく俺たちはもう少し奥(この場合町から離れる方向)へ向かうことにした。さすがにあの町から離れれば人も少ないと考えたからだ。周囲の使っていない場所を探しながら歩いていた俺の目には草の色とは違う土が見えているような白色のような肌色に近い色がうっすらと見えた。何なのかわからないが他のメンバーに知らせる。マサトなら知っているかもしれないからな。
「なあ・・・あっちに土みたいなのが見えるんだけど、何かわかるか?」
「土?こっちはずっとうっすらと草が生えてるだけだったはずだぜ」
「何かテストから追加でもあったのかもね、いってみるかい?」
「一応確認しよう」
俺が先導する形で土が見えている部分を目指す、その途中で俺たち全員の目に土の舗装されていない道が見える。それは片方が最初の町の南門まで続いていて、反対側はどこに続いているのか見えない。
「これって・・・道だよな?」
「道だな」 「道だね」 「道ですね」
俺たちは南門から続く、先の見えない道を見る。
「いくか?」
「いってみよっか」
周りの狩りをしているプレイヤーの様子を見ながら土の道を進む。はっきりいって今日は素材集めは無理そうだ。町にプレイヤーがいなかったのはみんなこっちに来て狩りをしていたからなのか?そう思ったが、それでも生産プレイヤーの露店が出ていなかった理由がわからない。
俺たちは、たまにいるプレイヤーが攻撃をしていないヒツジやウシを攻撃しながら1時間ほど歩き続けた。ウシやヒツジの攻撃方法は前に向かって突進をするか、後ろ足の蹴りだけだったので、近づいてマサトがモンスターの前方で動けなくする。後ろは俺が受け持った、痛みはないが現実と同じか少し大きいぐらいのウシやヒツジの蹴りは流石に怖かった・・・
そうして移動を続けた俺たちの目に、平原とは違う色の人工物が見えてきた。それは真っ白い壁(城壁)だ。
「なあ・・・なんか壁みたいなのが見えるんだけど」
「・・・奇遇だな。俺にも見える」
「もしかして、町?」
「町なのか砦なのかはわかりませんが、最初にいた町と違ってしっかりとした城壁のようなものが見えますね」
さらに近づいた俺たちは、空いた口が塞がらなくなった。なぜなら目の前に、門が開いた状態の高さ10mほどもある城壁が見えるのだから。
開いている門の向こう側には、活気にあふれた大通りと、その周りにある西洋風のレンガ造りの二階建ての家々が見える。
「あれって、もしかしてNPCかい?」
ミサトが指を差しているのはたぶん頭上に名前が出ていないキャラクターの事だろう。プレイヤーの場合は、そのキャラクターの名前が頭上に書かれているのだから。
「初日から南の平原で狩りをしていた人たちは、皆さんこちらへ来ていたのですね」
「だろうな。だから町にいるプレイヤーは少ないし、町の周りで狩りをする人も少なかったんだろう」
「となると東の森が強くなっていたのは、もっといい装備を整えてからいく予定の場所だったと言うことか」
「そう言う事よ。よく東の森で狩れたわね」
俺たちが話していると女性の声が話に入ってきた。声がした方を向くと、中学生ぐらいの白色の髪をショートヘアーにしている女の子と、はち切れんばかりの筋肉をもった日に焼けた小麦色の体をした短髪の黒髪の大男という2人組がいた。
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やっとNPCと知り合い以外のプレイヤーを出していけそうです。