ログインそして合流
こちらは2話目となっております。
小包が先ほど届いた。中身を確認すると自分と命の『アウターギア』のようだ。さっそく届いた自分の分のフリスタのソフトと『アウターギア』を取り出し部屋へと戻る。その途中で命にもフリスタが届いたことを伝える。
『アウターギア』の設定は意外と簡単だった。まずはじめに、頭にヘルメット部分にある穴にフリスタのソフトを差し込んだ後かぶり、ヘルメットと繋がっている首輪を首につければ準備完了。後は『アウターギア』を起動させれば自動的にインストールが始まり、数分後にインストールが完了した。
ゲーム開始が今日の午前10時ちょうどなのだが現在は午前9時過ぎ。時間がまだ少しあるので、そのままキャラクターエディットまでやってしまおうか。フリスタはゲームサーバーに接続しなくてもキャラクターは作成できる(名前は付けれない)。
『アウターギア』を起動させたまま首の前あたりを手で触る。首輪部分にあるスイッチを押すことでフルダイブ(意識を電子の世界へと送ること)ができる。フルダイブすると、そこは真っ暗な空間だった。自分の体は見えないが、自分の目の前に『フリースタイル・オンライン』と書かれた光る看板が浮いているように見える。それを触ろうと腕を伸ばそうとすると看板に近づき、そしてキャラクターエディット画面になった。
フリスタでは、自分のキャラクターの背格好を自由に決めることができる。ただし、性別だけは自分の性別と同じでなければならない。『アウターギア』を注文したときに自分の戸籍データを送っているので、『アウターギア』自体に性別の情報が入っているのだ。
なぜこんな面倒なことになっているのかというと、『異性のアバターを使用して自分の各部位を触るのは問題がある』と政治家のほうからストップがかかったのである。
キャラクターエディットには、自分の写真を使うことで自分の顔や髪型を『アウターギア』側が用意してくれる。自分で顔を作るのが面倒だったので俺もこの機能を使用した。
髪の色を黒から、少し青にに近づけて紺色に近い黒へ変える。目は茶色のままだ。肌の色は少し白くする。使った写真が少し日焼けしたときのだったため、普段の色に近づけたかったのだ。
「目じりを少し上げてっと・・・。身長はどれくらいだったかな?170ぐらいだった気がするんだが・・・。まぁいいか、170はあったんだし。170にしとこう」
「普通に話すことができるんだな。ただ、話しているのが今作ってる自分のキャラクターの口だから少し不気味だけど・・・」
自分の考えていることを話す、自分の顔をした、自分の作ったキャラクターを見ながら思う『気持ち悪いな』と。キャラクターの肉付きはいじっていないので普通に細身で、筋肉もあまりついていない。目じりを上げたことで少し神経質そうな研究者といった雰囲気の自分の姿を見ながら、これでいいかと思う。
キャラクターエディットが終了したので一度ログアウトする。ログアウトのやり方は簡単で、フルダイブのときと同じように首を触る。するとメニュー画面が現れるので、その中からログアウトを選択する。
そのメニュー画面を見ると自身のキャラクターを設定する場所があり、自分が作っているキャラクターが話すなんていう気持ち悪い状況にならないですむ方法があったことに気づいたのはないしょだ。(先ほどのキャラクターデータをこちらに使用し、現在は変わっている)
ログアウトして、部屋の時計を確認すると10時まで後10分ほどだった。命がどうしているのか確認するために命の部屋を訪れると、ちょうど命が部屋から出てきた。
「あ・・・。兄さんどうかしましたか?」
「あぁっと、もうすぐフリスタのサービス開始だろう?そっちは準備できたのかなって思ってさ」
「ありがとうございます。でももう準備はできましたから平気ですよ」
そういって微笑みかけてくる命。肩まである艶のある黒髪をもつ、大和撫子という言葉がふさわしい少女をみていると、どうしても恥ずかしくなってくる。
「それじゃあ俺は真人にちょっと電話入れて、どこか集まるのにちょうどいい場所がないか聞いてくるけど、一緒に来るか?」
「はい。里美さんもいるのですよね?」
「あぁ、そのはずだ。それじゃあ俺の部屋に行こうか」
命を連れて自分の部屋へと戻る。そして机の上においていた携帯電話をとり真人へ電話をかける。
しばらく電話から呼び出し音が聞こえていたが、その呼び出し音が消え真人の声が聞こえた。
「おう、どうした?あと少しでフリスタにログインできるんだから手短に頼むぜ」
「フリスタのことで質問があってね。ログインしてすぐに待ち合わせするのにちょうどいい場所はないかと思ってね」
「あぁ、そういえば誘っただけで何も話していなかったか。姉貴と待ち合わせしてる場所があるから一度そこにきてくれ。場所は最初の町にある西門だ。迷ったらメニューからマップを選べば現在位置がわかるから、それで確認してくれ」
「了解だ、西門だな。命も一緒だから後で4人で会おう」
そういって、通話を終了する。
「兄さん、西門という場所に行けばいいのですか?」
「ああ。その場所がわからなければ、メニュー画面からマップって選べば現在位置がわかるらしいから、地図見ながら最初の町にある西門に来てくれってさ」
「わかりました。それでは自分の部屋に戻りますね」
「それじゃ、また後で」
命が部屋を出て行き扉を閉めたのを確認してから『アウターギア』をつける。そして10時になったのを確認してからフルダイブを行いフリスタを起動する。
フリスタの起動画面が終わり、ロゴが見える。そして数秒後見えていた風景が変わる。そこは草原で一人の女性が立っている。そして女性が声をかけてきた。
「ようこそ、フリースタイル・オンラインの世界へ。ここでキャラクターの作成を行ってもらいます。すでに作成が完了している場合はメニュー画面の中の『データをロードする』を選んでください」
すでに俺はキャラクターの作成は完了しているので、首の辺りを触りメニューを開きデータのロードが完了すると目の前に先ほど作成したキャラクターが浮いていた。
「このキャラクターで大丈夫でしょうか?」
YESとNOとウィンドウが出てきたのでYESを押す。
「キャラクターの名前を入力してください」
俺はしばらく考えたあと、atomと入力し決定ボタンを押した。
「キャラクター名を確認しました。atomでよろしいですね?」
確認のためにもう一度ウィンドウが出てきた。もちろんYESだ。
「これでキャラクターの作成を終了します。それでは楽しいゲームライフを」
そう女性が言葉をかけてくる。次の瞬間視界が白で埋め尽くされ、再び色が戻ると景色が一変していた。そこは・・・・・・廃墟だった
「え・・・?なにこれ・・・」
自分の置かれている状況がよくわからなくて周囲を確認する。するとそこには自分と同じように周りを確認しているプレイヤーらしき人たちが見える。自分が立っていた後ろには、水の流れていない壊れた噴水のようなものがあった。遠くを見てみると、燃えたのか風化したのかわからないが全体的に白っぽい建物の一部がそこらじゅうにある。ただし見える建物の中で、いまだに誰かが使っていると思えるものはなく、まさしくここが廃町なんだろうと想像できる。
「普通こういうゲームだと、最初は活気のある街なんじゃないのか?なんでこんな誰もいないような町に・・・っとそうだった、今はそんなこと考えてないで西門に向かおう」
そうつぶやくとマップを確認してみる。この噴水は街の中心から少し南のところにあるようだ。そして門は東西南北にそれぞれ1つずつ配置されているようなので、マップを確認しなければわからなかっただろう。
しばらく歩くと西門の近くに1人の男性と2人の女性がいた。そしてその人物全員に見覚えがある。
「一番最後か、遅くなった」
そう3人のうちの男性へと声をかける。その男性は意志の強そうな目をした黒髪黒目の日本人で、その短い黒髪を立たせている。その腰には剣がつるされており左手には盾がある。服は全員同じ若草色の半袖と長ズボンだ。
「おぅ、やっときたのか遅いぞ。atomね・・・アトムでいいのか?」
「アトムだな。よろしくなマサト・・・って実名かよ」
「気にするなよ。実名プレイを気にしない人も意外と多いんだぜ?」
「ああそうかい・・・。そしてミコとミサトか、こっちも削っただけなのと入れ替えただけと・・・」
マサトからミコとミサトのほうに目を向けながらそうつぶやいてしまう。ミコは現実と同じ黒髪を肩の辺りまで伸ばしている。その横にいるのは腰まである赤髪の人懐っこそうな笑みを浮かべた女性がミサト。その髪はマサトと同じようにところどころが跳ねている。ミコはあまり女性らしい体つきをしていないが、ミサトは女性らしい出るところが出ているそんな女性だ。
「何かいけなかったんですか?」
「いや・・・悪くはないんだが、なるべく注意しろよ?ミコ」
「大丈夫ですよ、兄さん」
「そうそう、ミコなら神子や巫女とかあるわけだし大丈夫だって」
「ミサトさん・・・は実名っぽいから大丈夫なのかな?」
「そうだろそうだろ。それで?マサトはどうしてここに私たちをよんだのさ」
そう楽しそうに笑いながらマサトに、ここを集合場所にした理由を聞く。普通に集まるなら南門のほうが近いのに、なぜ少し離れた西門にしたのかは確かに気になっていたことだ。
「あ~・・・。それな、南門は初心者用のフィールドでたぶんみんながいくだろうから集合場所には向いてないだろうって考えたからんだな。東門でもよかったんだが、あっちは森が奥にあるから門の近くにも木があって視界が悪いんだ。だからこっちの草原に来てもらったってわけ。ちなみに、東と西は大体同じぐらいの強さの敵が出て、南門の平原よりも強い。ちょっと狩っていくか?」
「いきなり強い敵と初心者を戦わせようとする恥知らずなテスターがいた・・・」
「さすがに一人で戦わせたりはしないぞ!パーティを組んで一緒に狩るんだよ」
「それならいけるのかな?俺はかまわないぞ。二人は?」
「私も大丈夫です」「私もだ」
「それじゃあ行こうぜ」
マサトの言葉に頷きかけて
「その前にパーティとやらを組まないか?」
そう声をかける
「わりぃ、焦って忘れてた。それじゃあ申請を送るから承諾してくれ」
その言葉の後に電子音がして申請が送られてきた。全員が承諾をして4人のパーティが完成した。
「このゲームは最大6人までパーティが組める。パーティを組んで戦闘を行うと全員に経験値が入るわけじゃないけど、倒したモンスターからのドロップは全員に入るから素材集めに為に組むことが多いな」
「経験値が入らない?それじゃあどうやって経験値を稼げばいいんだ」
「姉貴、頼むから攻略サイトは見といてくれっていっただろう・・・」
「私もわかりません・・・ごめんなさい」
そう申し訳なさそうにミコが顔をうつむかせると、さすがに焦ったのかマコトが
「いやいや、初心者はわからないよな!今から説明するから安心してくれ!」
早口でそう答えていた。もちろんそんな様子をミサトがからかわないわけがなく
「私のときとだいぶ対応が違うじゃないか~」
笑いながらマサトの首に腕を回すミサト。そのまま放置していてもいいのだがいつまでもそうしているわけにもいかないので
「じゃれあうのは後にして、歩きながら話しましょうよ」
全員がその言葉にうなずき、門の外へと歩き出す。
「まず初めに言っておくけど経験値が入らないのはパーティを組む組まない関係がないんだよ。何かスキルを使えばそのスキルの経験値が入ってそれがたまればスキルのレベルが上がる。そしてキャラクターのレベルはスキルの中で一番レベルが高いものと同じになるんだ」
「つまり、スキルを使わなければずっとそのスキルはレベルが1のままということ?」
「あ~ちょっと違う。《パッシブスキル》だけはモンスターを倒す。または何かスキルを使うと経験値が入ってレベルが上がっていくんだ」
「つまり《パッシブスキル》だけはパーティを組んでも上がりやすくて、それ以外のスキルはパーティだと上がりにくいのか」
「そういうことだ。そしてここで確認しときたいんだが、みんなはどんなスキルを最初にとったんだ?パーティで戦うんだから、せめてどんなスキルを持っているのかは確認しておきたいんだが」
そのマサトの一言で全員がメニューを開き、自分のスキルを他の3人に見えるように前に出す
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