集団戦
16話目になります。
気づいたらPV10万、UV1万を超えていてびっくりしています。
よんでくれている方々有難うございます!これからも頑張っていきます!
「あった!少し右の奥」
森の中を10分も進むとリカが声を上げた。<発見>のスキルを持っていると、採集できる場所が遠くからでもうっすらと水色に光って見えるそうだ。ちなみに蜘蛛の巣のようなトラップは赤色に光って見えていたそうだ。
「ここだよ。ちょっと待っててね」
「それじゃあ俺たちは周囲を警戒しようか」
「警戒?」
「そうよん。この森の中は兵隊蜂がうろうろしてるからん、採集している人をパーティのメンバーで守ってあげるのん」
「そういうことですか。わかりました」
俺たちはリカの指示に従い採集できる場所まで進み、リカの採集が終わるのを待つことにする。といっても特技を使って採集するので、そこまで時間がかかるわけではないのだが、1度に1つしか採れない上に何個採れるかはそのときの運なので多い場合は時間がかかる。クールタイムが5秒あるのもさらに時間がかかる原因になっている。
リカが採集を終えるまで俺たちは周囲を警戒する。モンスターは大体アクティブモンスターと呼ばれる、何もしなくても襲ってくるモンスターなのだが、兵隊蜂はプレイヤーが視認できる距離だと向こうもプレイヤーを発見できているらしくその距離からこちらに向かってくる。なので周囲を警戒していないと、気づいたときには兵隊蜂の群れが近くにいて襲われる可能性があるかららしい。
「よし、終わったわ」
その声を聞いて俺たちは再び奥へと向かっていく。それを2回繰り返した後でマサトが兵隊蜂を見つけた。
「いたぞ!前方蜂3匹だ」
周りを確認していたマサト以外は進行方向を見る。そこには兵隊蜂が3匹こちらへ向かってきているのが見える。マサトは声を上げた時点で前に走っていた。それを追いかける形で俺とマツが前に出る。
一番近い兵隊蜂にマサトが《ファイアエンチャント》を着けた剣で攻撃する。攻撃された蜂はマサトに対して攻撃を開始する。他の2匹はマサトを無視してさらにこちらへ向かってくる。左の蜂のほうが前に、右の蜂のほうが後にいたので俺は後ろにいるほうを攻撃することにする。
「左をお願いします!」
声をかけた後で俺は《パラライズ》を右側にいる兵隊蜂に使う。さすがに普通に使ったために状態異常になることはなかったが、マツを無視して俺へ向かって進んでくる。マツは先に突っ込んできていた左側の蜂を斧で斬りつける。その攻撃で、前衛3人に兵隊蜂がそれぞれ1匹ずつついたことになった。
ミサトとミコとリカは俺の横を通り過ぎていく。3人でまずマサトと戦っている兵隊蜂を倒してしまうためだ。
俺とマツは自力で回復しながら4人が1匹を倒すのをそれぞれ攻撃しながら待つことにする。
「《スラッシュ》 《シールドバッシュ》」
マサトは他の3人に攻撃がいかないように剣で斬りつけたり盾で叩いたりしている。もちろん盾で防御していないのでLPがいつもより減ってしまうが、そこは俺が《ヒーリング》で回復する。
「ここらへんでいいかな。いくよ」
「わかりました!」
「「《ファイアボール》」」
リカとミコの杖の先から《ファイアニードル》よりも大きな火の玉が飛び出す。<杖>と<火>が10を超えたときにでた新しい特技らしい。
「こいつもおまけだよ! 《マナバレッド》」
ミサトの銃の先から魔力の塊なのか白い弾が飛び出す。さらにそのままミサトは近づいて、《スラッシュ》を使い剣で攻撃を開始する。
3人の攻撃が激しいのでマサトのヘイトを超えそうになるが、ターゲットが移る前にマサトが《挑発》を使い兵隊蜂の攻撃が3人に行かないようにする。防御をせずに4人で攻撃しているからなのか、それともスキルのLvが上がったからなのか、以前戦ったときは1匹に3分ほどかかっていたが、2分かからずに倒してしまう。
4人はマツの方を先に狙う。マツがある程度削っていたのですぐにこっちへきてくれるだろう。その間に俺も少しはできることを試す。
「《パラライズトラップ》」
その1つがこれだ。麻痺になってくれればしばらくは俺は回復に集中できる。・・・集中できるはずだったのだが仕掛けた罠に兵隊蜂は当たってくれない。兵隊蜂は空を飛んでいるので、地面に仕掛けた罠が発動しなかったのだ。
「そりゃぁないぜ・・・。しかたない《バインド》!」
《ヒーリング》の合間に何度もやっているのだが麻痺になってくれないので、俺は動きを止めてから《パラライズ》をするということを繰り返している。俺のLPは残り5割、向こうの兵隊蜂は残り4割を切ったところだから俺のLPがなくなる前に倒してマサトと交代できるだろう。その前に、できる限り《パラライズ》を使ってLv上げをする。
合計10回目の《パラライズ》で兵隊蜂が麻痺にかかった。すると兵隊蜂は翅の動きが止まり地面に落ちてしまう。地面に落ちると兵隊蜂のLPが1割弱削れた。どうやら落下ダメージのようなものが入ったようだった。《パラライズ》の効果がもっと出やすければ落下ダメージだけで倒せるようになるのだが、さすがに無理だろうな・・・
地面で麻痺している兵隊蜂を見ていると、向こう側の兵隊蜂を倒した5人がこちらに走ってくる。そしてマサトと交代した俺はダメージを受けているマサトやマツの回復をしながら《パラライズ》を使う。麻痺になってくれた場合はいいのだが、麻痺にならなかった場合の俺は回復しかしていないこの現状を早く抜け出したい。
兵隊蜂の群れを倒した俺たちは再び別の採集場所を求めて森を進む。移動中に兵隊蜂に出会う場合はいいが、採集中に現れたときは戦闘が終わった後で採集にその場所へ戻ってから別の場所へ移動するので、同じ場所で戦闘することもあった。
「そうだ!リカ手に入った木材私にもくれない?」
ミサトの言葉で俺たちはその場で足を止める。今は近くに兵隊蜂がいないからいいが、とりあえず周囲を警戒しておく。
「別にいいけど、どうするの?」
「私も<作成>もってるからね、剣とか銃を作るために欲しいんだよね。蜂の素材アイテムをいくつか渡すからさ」
「いいの?素材もらっても」
「いいよ、いいよ。それに素材売ってから木材買うより交換してもらった方が安いしね」
「わかったわ。それじゃあ、はい木材」
「こっちも蜂の素材」
二人がそれぞれアイテムを交換し終わる。
「あれ?ちょっと数が多いけど、蜂の素材こんなにもらってもいいの?」
「私たちはもう鎧を作ってるし、4人分集まるから甲殻のほうはそこまでいらないんだよね」
「それじゃあ、ありがたく貰っておくわね」
2人の話しも終わったようなので再び進む。すると、今まで兵隊蜂ばかりだったのだが蜂ではなく1mほどの茶色い芋虫が目の前にいた。
「あれはランドワームだな。蜘蛛の巣みたいに移動ができなくなる糸を吐いてくるから気をつけてくれ」
「移動できなくなるって、倒したら消えるんだろうなそれ・・・」
「テストのときは消えてたけどん、確証はないわねん」
「兄さんは今回は後ろにいた方がいいですね」
「ミコさんや・・・なんでうれしそうなんですかね・・・」
「そんなことありませんよ?」
そんなことを話しているとランドワームが糸を吐いてきた。今までは近づいてきて攻撃されていたが、こいつは遠距離にも攻撃できるようだ。
ただ、それだけだった。大きさが1mほどしかないのでマサトが正面で糸と体当たりを防ぎ、マツとミサトがそれぞれ左右から攻撃する。後衛ができる攻撃を次々に放ちながら俺がマサトの回復をする。はっきりいって兵隊蜂よりも弱かった。
新しいモンスターも出てきたが、俺たちは晩御飯のためにログアウトするまで順調に東の森で狩りをしていった。
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