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ペットショップと特殊クエスト

本日2本目の12話になります。


お騒がせして申し訳ない。という思いで2本書き上げました。

 ペットショップに入っていった俺たちの目に入ってきたのは、小さなショーケースとその向こう側にいる女性のNPCの姿だった。横に目を向けると、そこには普通の犬や猫がガラスケースに入っている。まるでリアルのペットショップのような内装だった。


 早速店員のようなNPCに声をかけるために近づくと


「ようこそ、ペットショップへ!かわいい動物たちを見ていってください」


 そう声をかけられた。


「えっと、俺たちテイムについて聞きに来たんですけど・・・」


「ようこそ、ペットショップへ!かわいい動物たちを見ていってください」


 ・・・何度声をかけてもそう返されてしまう。しかたなくリカを見るが、彼女はショーケースを見ていて俺の方は見ていない。マツのほうは苦笑しているだけで、何もヒントはくれない。


「兄さん。どうせですから向こうの犬を見てみましょう」


「まぁ、そうするか・・・。店員さんのすすめだしな」


 ミコは俺が賛同するとすぐに犬を見に行ってしまう。といっても2mほど進んだところにガラスケースがあるのですぐに追いついてしまうが。それにしても・・・


「こうやって動物が並べてあるけど、ゲーム内で買えないなら意味がないような気がするんだが・・・」


 無駄に本物のようなリアリティのある動物たちを見ながらそんな言葉をこぼしてしまう。


「ペットがご入用ですか?」


 そんな俺に、店員さんが声をかけてくる。


「・・・ぇ?買えるんですか?」


「はい、<テイム>というスキルをお持ちになっている方限定で販売させていただいています。<テイム>は私のお願いを聞いていただけるのであればお渡しいたします」



 <特殊クエスト:ペットショップの手伝い>

 クリア条件:アーカンの街の西側に蜘蛛型モンスターのドゥームスパイダーを5匹倒す

 ・このクエストの報告はペットショップで行ってください。


 受諾しますか?<YES> / <NO>



 ウィンドウが出て、クエストを受けるかどうかの選択が俺たちの前に出る。受けない理由もないので<YES>のボタンを押す。


「ありがとうございます。それでは私は皆さんが戻ってくるのをここでお待ちしていますね」




 とりあえず、俺たちはペットショップを後にする。西門へと向かう途中でクエストをクリアしたのであろう2人に話を聞くことにする。


「どうしていきなりクエストが発生したんですか?」


「さぁ?私たちのときも2人でお店に入って、私が『動物かわいいなー、欲しいなー』ってマツに強請ってたら店員さんが声をかけてきたんだよ」


「クエストが出た後わん、クエストの対象を倒して報告したらこの仔たちをもらったのん」


「つまり、この蜘蛛を5匹倒さないとペットは手に入らないと・・・」


 俺は悩む、どう考えても俺のスキルじゃこのクエストをクリアできない。3人は武器のスキルを持っているので多少強くても狩れるだろうが、ウシやヒツジですら倒すのが大変な俺にはかなりきつい。


「そうだ、このドゥームスパイダーって毒は効きますか?」


「さぁ?私たちは普通に武器で叩いてただけだからわからないわ」


「試してみればわかるだろ、無理だったらギリギリまで俺たちで削るさ」


「悪いな、助かるよ・・・。そういえば2人も一緒に来るんですか?」


「着いて行くわん。ちょうど6人だしパーティを組んでもらってもん?」


「わかった。パーティを解散したら申請するから、教えてくれ」


 マサトと2人がパーティの編成をしている間に、俺は何かできないか考える。だが俺のスキルは<ステータス上昇:小>Lv3と<補助>Lv6と<妨害>Lv8しかない。アーカンへ来るまでにウシやヒツジと戦ったので少しはスキルが育っているが、まだスキルポイントは増えていない。つまり《ポイゾネス》が効かない場合は俺に攻撃手段はない・・・


「ま、考えても仕方ないか」


 そう前向きに考えるようにする。試してみないことにはわからないのだから、問題は先送りにしておく。それに、1人で無理でも助けてくれる人が5人もいるのだ、ナイフ1本でも何とかなると信じよう。




 西門を出た俺たちは、近くにドゥームスパイダーがいないか探してみる。見える範囲には膝下ぐらいの高さまで育っている青々とした草とまばらに生えた木しかない。どうやら木があるせいで見通しはあまりよくはなさそうだ。


「2人はどのあたりでドゥームスパイダーを倒したのですか?」


「私たちは・・・どのあたりだっけ?結構遠くまで歩いたよね?」


「そぉねん。近場にはスパイダーって言うモンスターしかいないのん。だからドゥームスパイダーを探して歩き回って見つけたの。だから、はっきりとした場所はわからないわん」


「そうなのですか。でも遠くなのですよね?ならまっすぐ進んでみましょう」


 2人の情報を元に俺たちはアーカンから離れるように歩く。たまにマップを確認して、変な方向へ進んでいないか確かめながら進む。とその時俺の右足が急に動かなくなった。慌てて左足を動かしてバランスをとろうとして左足も動かないことに気づく。


 マサトたちが俺が遅れていることに気づき、俺の方を見た。リカとマツはこの状況の原因を知っているらしく慌ててはいないが、マサトたちは足を動かさずに変な踊りを踊っている俺を見て慌てて俺のそばに来ようとして、マツにとめられている。


「あれはスパイダーの巣にひっかかってるのん。スパイダーネットっていう<道具>で作れるアイテムと同じ効果でねん、踏んじゃうと巣を壊すまで動けなくなるのん」


「しかも、スパイダーはあれに引っかかってるプレイヤーを最優先で狙うから、防御力のないプレイヤーがかかると大変だから気をつけて」


「兄さんは大丈夫なのですか?」


「問題ないわん。ファイタービーよりも全然弱いからん」


「それなら安心でうわ!」


 安心だと思った瞬間後ろから何かに押される。背中越しに確認してみると、高さ10cm幅50cmぐらいの大きな蜘蛛が草の上にいる。


「みんな、俺の後ろ側にスパイダーがいるから倒してくれ」


 俺の言葉でマサト、ミサト、マツの3人が俺の後ろまで駆けていく。俺は自分のLPを確認してみるが50も減っていなかった。あの蜂なら100以上削られるので、確かに蜂よりも弱いのだろう。


 回復だけして3人が倒すのを待つ。というか、3人を無視して俺を攻撃してくるので<補助>のLv上げでもさせてもらおうと思う。そんなことを考えていたら1分もかからずにスパイダーを倒してしまった。


 蜘蛛の巣はスパイダーを倒してもなくならなかったので、マサトに剣で壊してもらう。巣にも耐久力があるようで、俺のナイフじゃ壊すまでに時間がかかるからだ。


「俺があの巣に引っかかると一人じゃ脱出できないから面倒だな。どうにかして避けられないかな・・・」


「<発見>のスキルを持っていれば、巣の位置がわかるようになるわよん。それに<罠>も持っていれば《罠解除》という特技でスパイダーネットを回収することもできるわん」


「よくそんなこと知ってますね。どこから仕入れてくるんですか?」


「テスター仲間に教えてもらったのん」


「・・・その話し方で?」


「・・・えぇ、そうよん。テスト時は普通に話していたからん、事情を説明したらわかってくれたわん・・・。機嫌を直してもらうために贈り物でもしたらってアドバイスももらったけど、フリスタを送ってびっくりさせようとした結果がこれだから難しいのよねん」


「・・・頑張ってください」


「ありがとん」


 <発見>もちがいれば巣を避けて通れるといっても、ミサトがまだとれていないので俺たちにはわからない。しかたなく横2列で進むことにしようとして


「私が持ってるわよ?」


 とリカの一言で、巣を避けて歩いてもらうことで俺が巣を踏んで以降は安全に進むことができた。そしてアーカンを出て30分歩いたぐらいのところで、ついに俺たちはドゥームスパイダーを発見した。


 発見したのだが、はっきり言ってこんなモンスターと戦いたくない。なぜならドゥームスパイダーの大きさが蜘蛛と思えないほど大きいのである。高さ2m幅6mぐらいあるのだから、まるで岩が動いているように見えるのだ。はっきり言ってあれに飛び掛られたらトラウマになりそうだ・・・。リカとマツはドゥームスパイダーを2人で倒したというのだからびっくりする。


「ドゥームスパイダーは大きいけど、動きはスパイダーと同じ飛び掛って体当たりをするか前足の引っかきしかないわん。だから攻撃は遠距離か横から攻撃してねん」


 マツから注意点を教えてもらった俺たちは、マサトが正面でドゥームスパイダーを受け止める。マツが横から手に持った斧を、ミサトは剣と銃を両手に持って近距離で攻撃。ミコとリカは杖を取り出して遠距離から攻撃。俺は《バインド》と《ポイゾネス》が効かないか試しながらマサトのLPを回復。


 一応の役割分担を決めて、俺たちはドゥームスパイダーに挑む。

誤字・脱字・質問などございましたらお気軽にどうぞ。



初感想と誤字の報告ありがとうございます!

なるべく誤字・脱字を減らせるように頑張っていきます。

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