表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あぁっ! 飯屋(メシヤ)サマ!!  作者: 榎本灯歌
1章 【魔王の涙(サタン・ラルム)】は枯れない
5/23

目覚めの地獄飯③



「カーネ族見たことないの?この国そんなに少ないわけないよね?…あ、違う国の人?人間さんの髪色珍しいよね」


かたりと机の上に湯気があがる盆をのせる。

どうやら中身は粥のようである。

よい香りはそこから漂ってくる。

自然と裕二の腹がなった。


「お腹すいたよね。丸3日寝てたら当たり前だよ」

「悪い…金ねぇ」

「いいよ。あまり物だし。でもちょっと待ってね。

窓閉めなきゃ…きゃっ」


ずるりと少女の身体がぶれた。足元のマットがずれたらしい。

彼女はしばらく抵抗していたが、やがて倒れた。裕二を押し潰すように。


「ぶっ」

「あぁっごめんなさいー!」


少女の小柄な身体に似合わぬ大きな胸が裕二の顔を挟み込んだ。

それなんて言うラノベ?なんて突っ込みがはいりそうだが、裕二自身はライトノベルなど読んだことがなかったのでただただ目を白黒させている。


「本当にごめんなさいー!私ドジだからよく転ぶの!すぐ退くから!ーーきゃっ」


少女が掴んだカーテンは嫌な音をたてて破ける。

手をついた先は裕二の下半身。


薄いシーツは彼女の肌の柔らかさと温もりを直に伝えてくる。

空腹以外健康的な青年である裕二は当然そうなるわけで…


「…早く退いてくれ」


顔を真っ赤に染めた少女はコクコクと頷き、ベッドの上から飛び退いた。



裕二は思う。どんな地獄だ。生き恥晒しまくりじゃないか。


「と…とりあえず食べて。冷えたらおいしくないよーーたぶん」


なにやら不穏な言葉が聞こえたが、声の小ささと食欲により裕二の耳には入ってこなかった。


木製の匙で掬うと粥からほんのり湯気が溢れ出す。

ちらりと少女を見れば、彼女はニコニコと微笑んでいる。


「召し上がれ?」


遠慮はいらない。

裕二は空腹を満たすために器に口をつけて流しこんだ。


「ーー?!?!」


裕二の肉体に電撃がはしった。


なんだ、


この



















不味さは!




裕二は先ほどより一層目を白黒させてーー最終的に白目をむいて倒れた。


気が遠くなるなかで、少女がやっぱりーっとかごめんなさいーっとか叫んでいた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ