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目覚めの地獄飯②
どこからかよい香りが広がってくる。
二度目の目覚めは夕刻に近いのか、見える景色は街を茜に染めあげていた。
額からずるりと布が落ちる。
……少し湿っている。
熱でも出ていたのだろうか?
氷枕のほうが手間もかからないのに、親切な人だな。
裕二は独りごちる。
タオルを脇の棚上におき、軽く背伸び。骨が鳴る。
首をぐるりと回し、目を剥いた。
「……は?」
先ほどまで気付かなかった街の全貌。
そこはビルが立ち並ぶ無機質な都会ではなく、中世ヨーロッパのような建物が乱立していたのである。
「嘘、だろ?」
裕二は茫然とする。
街中にはよくわからない民族衣装をきた人々。
目を凝らせば、20メートルを超える壁と遥か彼方の青い山。
「どこだよ、ここ…」
日本とはかけ離れた情景に裕二はただただ口を開けていた。
ーーガチャ
物音にふりかえると、木製のドアが軋みながら開いている。裕二の喉はごくりと音をたてる。
「…おきたの?人間さん」
柔らかそうな赤褐色の髪。
紫水晶色の大きな瞳。
たわわに揺れる胸。
「ん?何かついてる?」
そう言った彼女の頭にはピクピクと動く犬耳があった。




