毒を喰らわば皿まで②
鳴り響く皿の落下音。
息をのむココ。
そしてプチを襲う痛みーー
「ぐぅっ」
「ユージーン…?」
ーーのかわりに裕二のくぐもった声がこぼれた。
「ぐえ」
「ユージーン、大丈夫っ?」
「…早く退け」
皿を放り投げた裕二は電光石火のごとく落ちたプチのもとへ駆け寄った。もちろん落下した彼女を支えることはできなかったがクッションよろしくに下敷きとなったのである。
それなんてラノベ?的な展開だが生憎裕二もプチもラノベは知らない。
だからお約束。
「いいから早く退け!重い!」
「ひどい!」
その横で生暖かいパスタをかぶったレフィスが出遅れたとぼやいたのもお約束である。
§ § § § § § §
「もったいない…」
残飯用のバケツに冷めた麺がおさまっていく姿を見てプチがそうこぼす。
「俺も不本意だが、誰のせいだ?」
そう裕二がプチを睨めば、彼女は視線を漂わせ、
「…え」
レフィスの濡れた頭を拭いていたココにたどり着く。
ココといえば、その視線を一度受け止め、プチと同じように漂わせ、手元の少年の頭に。
「へ?」
「…そうか、やはりお前が悪いのか…」
ゆらりと陽炎のように裕二の背後から怒りがわき出るのをレフィスは見た気がした。
「ちょ!おれのせいかよ!」
「お前じゃなきゃ誰のせいだ。今日という日は許さん!」
ぎゃーという悲鳴がこだまし、その後しばらくは誰かの走る音が隣近所まで響き渡ったという。




