毒を喰らわば皿まで①
裕二がこの世界にきて、この世界での一月が過ぎようとしている。
貧乏暇なしとはよくいったもので、プチが一人で店をまわしていたときは営業時間をたくさんつくることで稼いでいたが、今は裕二の料理で懐は潤いまくっていた。
近隣の住民に借りていた少量の借金も返却が済みというこで、初めての休日である。
普通の異世界人であるならば王都見物などやりそうものだが、裕二は違う。
新しい料理のレシピに熱中している。
プチはそんな彼の姿を見て、ユージーンのための休日なのにもったいないなーと思いながらも、彼と同じ空間にいるのが嬉しくてあちらこちらを掃除している。
「ねーねープッチーナ姉ちゃん」
すっかり埃の被ったコンメル像を拭いていると、いつのまにかいたレフィスがプチを見上げていた。
「あー、レフィスくんいらっしゃーい。どーしたのー?」
「仕事休みなんでしょ?でぇーとしよーよ、でぇーと」
相変わらずこの子どもは煩悩の塊なのか、不埒なことを言っている。
お供のココはまだ追いついていないのか、姿は見えない。
「おいちび、新作運ぶの手伝え…またか」
皿を抱えた裕二がレフィスを見て苦虫を噛み潰したような顔をする。
この間の昼休みといい、今日といい、この少年は邪魔をする。
「ケチケチすんなよー、ユージーン…お、新作ぅ?おれも食う!」
「おまえにやるほどつくってねーよ」
「えーけちー。ぶーぶー」
ブーイングをおこす少年を大人げなく威嚇し、裕二はプチに降りてこいと催促をする。
「今日はデザートつきのレディースランチを提案してみようと思ってな、いろいろ作ったんだが…レディーがいないな」
「ちょっとー、それどーゆー意味ー?」
ここにいるでしょと言わんばかりにプチが裕二に文句をつけると、彼は鼻で笑う。
「淑女?お子様の間違いだろ?」
創る料理間違えたかなとぼやけば、さらにプチの頬が膨らんだ。
「ま、試食と…?」
裕二の視線が置いたばかりの料理からプチのいる玄関方面にうつる。それはプチも同じようで赤毛の犬耳がぴくぴくと。
がたがだがたがた
ばたばたばたばた
がんっ!
「レフィス様ぁぁぁあ!」
ココが勢いよく玄関のドアを開く。内側に。
「あ」
「え?」
「へ?」
プチの乗っていた脚立が反動によってぐらつき、当然彼女は落ちた。
「きゃぁっ」
「っ!」




