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予感、いよかん、いい予感
「ありがとうございました~」
昼の最後の客を笑顔で見送り、プチは休憩中の看板を出す。
カウンターの奥では木皿を洗う音、鉄の鍋が出す肉の焼ける匂い。
ここ最近、彼女はご機嫌だった。
第一に店の売り上げがよいこと。
父が仕切っていた酒場を一人で切り盛りしだしてから何故かーー理由はわかりきっているが、プチ自身はわかっていないーー売り上げがどんと落ちた。それが今や1日に一週間分は稼いでいる。
明日の飯の種に呻いていたのが嘘のようだ。
第二に店に活気があること。
売り上げとどう違うのかプチ自身にもわかっていないが、幼い頃から見てきたこの光景が戻ってきたのは彼女にとって嬉しいことだった。
そして最後にもう二人ではなくなったこと。
静かな夜を一人で静かに過ごさなくて済むこと。
昼間は何かと騒がしいが、宵と明の時間は音のない世界だった。
もうそんな日々は二度と来ない。
プチはそんな予感がしていた。
「飯できたぞー」
裕二の声にプチははーいと返事をし、玄関の扉をぱたんと閉めた。
遅れまくりで申し訳ない。
仕事難しすぎワロタ…




