酔いどれたちの肴⑥
裕二は迫ってきた男に驚愕した。
何処に驚いたか?
それはもちろん男の腹にである。
「(豚族なんていたのか…?)」
この2日間、プチやココに一般常識について教えてもらっていた。
異世界出身であることは伏せて、どこかの山奥でひっそりと暮らしていたーーということにしてある。
種族なども訊いたが、この世界には大まかには犬族と猫族、それに人族がほとんどだと聞いている。
「(突然変異か?豚はウシ目だしな……豚頭人ってやつか?)」
R指定のファンタジーゲームに手を出したことはないが、なんとなく目にした広告には豚頭人と小鬼が美形の長耳妖精にいけないことをしているものをちらりと見たことがあった。
おそらく店の誰かが買うのであろうが……
「(そいつらにとっては夢の世界だろうな)」
もとの世界に未練がないわけではないが、できることならこの世界にはいたくない。
住む場所も働く場所もできた。
望んでくれる人もいる。
だが所詮、自分は異物だ。
ドン!
思考から覚めてみれば、跪く豚ーーもといダミアンの姿が。
「おらぁ…おらぁ、あんたの料理に惚れたーだ。おらぁとけけけけ結婚してくろ!」
「は?」
「ふぇ?」
裕二とプチは互いに目をあわし、首をふり、そして同時に言った。
「きもちわるっ」
「だめぇー!」
料理を作ったのは裕二であることを知っているのは当人とプチ、タバサーーそしてダミアン一行の反応を見て、さっと鶏の香草焼きのかけらを盗み食いしてあまりの旨さに呆然としたナルスだけである。
ダミアンが告白したのはプチに決まっているのだが、当人たちにとっては知らぬことである。
このあと、誤解がとけるまでに半刻ほどかかりダミアンの泣き声が【魔王の涙】に響いたのは至極当然。
後にこの一夜は酔っぱらいたちの肴の種になるのだが、これはまた別のの話である。
これにて酔いどれたちの肴 完結です。
投稿するのが時間かかりました(泣)
文字が思いつきませんでした。
やっぱり一章全部書いてからの方がよかったのかなぁ……




