酔いどれたちの肴⑤
※※ある男視点※※
コル。
それオレの名前だ。
年齢は40の手前にはいったところ。
ユージーンに「アラフォーに見えねぇ…」と呟かれたが、あらふぉーってなんだ?
…まあいい。
問題はこいつらだ。
どうやらルフォンのとこにきた嫁さんの知り合いらしい。
ルイーシャ…だったか?なかなかいいケツの女だったな。おっとこんなんだからうちのカカアに睨まれるんだとまたナルスにしかられちまう。
話がずれた。
まあ知り合いの知り合いが倒れるのは仁義に反するってもんだ。
悪く思うなよ。プッチーナちゃん。これもお前のためだ。
【魔王の晩餐】に付き合わされるのは見知らぬやつだけでいい。
ってまてまてまて。
食うんじゃねぇ。
まだ死ぬには早いだろ。そこのデブ!
手を伸ばしたが、デブは鶏の香草焼きをおもいっきり口にいれやがった。
あーあ、マズイだろ、これは。ルフォンになんて言やぁいいんだ。
オレは額に手をやる。
いや、ルフォンのやつは許してくれるだろう。あいつは人がいいから。
問題はオヤジどもだ。あいつらときたら、鬼の首とったみたいに言い出すぞ。
「プッチーナちゃんのそばにいながらなんたることだ!自分がそばにいなければ!」
だからカアチャンに蹴飛ばされるんだ。
これから起きるであろう惨劇に頭を悩ませるもいつまでたっても倒れる音がしない。
おそるおそるデブのほうへ向けば…
「……」
デブが涙を流していた。…そうかそんなにーー
「ンまーい!」
不味かーーナニぃ!?
「うまー」
「こげなうまか香草焼き食うたことなかー」
残った二人も鶏の香草焼きに舌鼓をうっている。
ナルスも目を見開き、オレと三人組との間で視線がいったりきたり。
意見?そんなことオレが聞きたい!
「もーコルさん。タバサさんから聞いてないんですかー?」
プッチーナちゃんが少し頬を膨らませ、腰に手をあてている。ご機嫌ななめのようだが、そんなプッチーナちゃんも可愛い。
じゃなくて!
「おいチビ。次の料理持ってけ」
カウンターから現れたのは体格のいい黒髪の青年だった。こいつがユージーンという名前だと知ったのはこれから少ししたあとだ。
年の頃はナルスとそう変わらんようだが……。
「チビじゃないですー。プチって呼んで!」
「チビで十分だろ」
「ぶー」
先ほどよりずっとプッチーナちゃんは頬を膨らます。だが気のせいだろうか?とても楽しそうだ。
グラーツィアさんーープッチーナちゃんの母親で、あの人もいい身体…おっとーーがあんなことになっちまうし、親父さんだって旅に出て帰ってきてねぇ。
ここ最近はレフィスのガキがバカやっても寂しそうな笑み浮かべるだけだったのに…。
こいつは…ついに春がやってきたか?
あごに手をあてて歪んだ唇を隠していれば、水をさすもの。
「お、お、お、お嬢さん!」
デブが立ち上がり、プッチーナちゃんのもとへ。
だっだっだっと地響きをならし、最終的に彼女の前でドンと跪いた。
「おらぁ…おらぁ、あんたの料理に惚れたーだ。おらぁとけけけけ結婚してくろ!」
あああ愛の告白ぅー?




