腐ったものは食べられません
間話です。
「ごーはーんー」
昼の忙しい時間が過ぎ、自分たち食事時になると必ず現れる人間がいるとしたらどう思うだろうか?
「おい、ガキ。お前は文字が読めないのか?」
昼間の貴重な休み時間。
昼の4時から夕の2時まで、酒場では休憩中の看板を出している。
この間に家主たちは己の食事を済ましたり、夜の営業の準備にとりかかる。
にもかかわらず、彼はやってくるのである。
「えー。ケチケチすんなよ。ユージーンー」
彼こと、少年レフィスはさっさとカウンター前に腰かける。
そこには、裕二とプチの賄い飯が湯気をたてていた。
「うわ。美味しそうなんだけど。いただきまーすーーうめぇ!」
「……勝手に食うな」
鶏の卵閉じ丼を頬張り、満足気なレフィス。
僅か数分でつくりあげたが、裕二にとっては自信作だ。
「よりにもよってチビの丼に口をつけるか……」
「え、プッチーナねーちゃんの方なの?やりぃ!間接ちゅーだ」
「……」
洗ってあるので、間接キスも何もないのだが。
出会って一週間と立たないが、いまだにこの少年が十に満たないとは信じられない裕二だった。
何しろやることなすこと、すべてがエロ親父臭いのである。
「レロレロ」
皿の縁を舐め、木匙を舐め、そこに料理があったことさえ感じさせないほどに食べ尽くす。
ごちそうさまーと腹を撫でる姿は、先日のプチにそっくりだ。
「……木匙は俺のなんだが」
「うげーっ。早く言ってよ!」
汚いと言わんばかりに、ペッペッと唾をはく。お前のほうが汚い。
「ただいまー」
裕二がカウンターを拭いていると、買い物を終えたプチが帰ってきた。
後ろには果物や野菜がたっぷり入った紙袋を不安定に抱えるココ・ノエの姿。
「レフィス様、やっぱりここにいたんですねー!」
「げっ」
レフィスを確認するなり、荷物を放り出して抱きつく。
何気に黙っていればの残念美形が二人、そのような状態になれば怪しげな雰囲気でして。
「……妙なのがわいてるな」
戸口には乙女たちがきゃいのきゃいのと騒いでいる。
「なんなんだろねー?」
プチは不思議そうに彼女たちを眺めるだけ。
裕二は知らなかった。
それが腐女子というものだと。
ちなみにこのあと、レフィスに自分のご飯を食べられたと気づいたプチは……
「ひどいよーレフィスくん」
と涙目になりました。




