異世界への亡命
魔法使いのいない世界に、魔法使いにしか入れないとても大きな魔法洞窟の奥に大きなブラックホールが宙に浮いている場所があり、そのブラックホールを閉ざすために私、魔法使いは一人でその世界の星へと旅立った。今は悪い魔法使いがうようよいて魔法の世界のすべてをそういった者たちが支配しているといっても過言ではなかった。私はそれが嫌でそれを知っていた魔法学校の先生が私にこの任務を遂行するよう提案し、私はそれを承諾した。そのブラックホールを創ったのは魔法の世界にいた怪物で、それを大昔の魔法戦争が次々と繰り広げられていた時代、当時最強無敵と言われていた大魔法使いが甦らせ、世界を破滅に追いやったのを魔法使いのフィリス族がたくさんの犠牲を払いながら食い止めたという。今ではフィリス族の生き残りはどこにもいないと考えられていたが、魔法学校に一人だけフィリス族の血を半分だけ引く少年がいた。彼はフィリス族の唯一の生き残りを父に持っていると噂されている。
その怪物が空けたとされるブラックホールはその星や魔法の世界を含むあらゆるこの世の世界から神聖なエネルギーを奪い取り、すべての世界はどこかで必ず繋がっており、このままの状態が続くことで魔法の世界にモンスターが侵入してくるという。
先生は魔法学校をモンスターから常に守る仕事があって来られない。私がそこへ送り込まれた後、二度と元の世界に戻れないかもしれない。ブラックホールを塞ぐには、幾体ものモンスターを倒して毎日毎日そこに行き、魔法を放たなくてはならなくてモンスターを倒しただけその効力は何倍にも膨れ上がる。しかし優秀な魔法使いでもこの日課が最低でも1000年は続くというのだから。
ここへ来て10年ほど経った頃のこと、あの伝説の一族の血を引くとされる少年が私の元へとやってきた。洞窟から出て森を歩き、街へと踏み出し、公園のベンチに座っていた時、魔法の地図を見ながらベンチに腰かけこっちを見てにっこり笑っていたのだった。
茶色の瞳をし、髪の色は少し金髪に近い茶色で物静かそうな少年で、私は彼を知っていた。
私の様子に気づいた彼は地図をたたみ、私に歩み寄り握手を求めてきた。
「僕はモーガンくん。その様子を見てると僕のことを覚えているようだね」
私は求められた通り彼の右手に自分の右手を差し出した。
その通り、彼は普段はお調子者だがやはり神聖な一族の末裔だけあって抜け目のない頭の冴えた優れた魔法使いだった。
「どうぞよろしく。これからは僕はいつだって君の味方さ。一人で行動させはしないよ」
「うん、こちらこそ、よろしく。君が仲間ならすごく心強いよ」
「ねえ、さっきから気になってるんだけど、そこにある人魂みたいなのはなに?」
私の左肩には金色の光を放つ光玉が浮いている。
「これは抑制魔法の魂だよ。私も女だからこういうのがないと戦いに挑んでいる余裕もなくなっちゃう年齢だから」
「それは魔法の国にはない魔法だね。時々、魔法を使える人間がいるって父さんが言うには、人間が使う魔法は危険で時に魔法使いを傷つけるらしいけど、君は元気そうだし、君がもし優れた魔法使いならそういう魔法を制御する力があるのかもしれない」
「年老いて死んじゃうまで戦う覚悟はあるの??」
「そりゃもちろん!」
少年は相変わらず楽しそうに微笑んでいたが、私にはすこしがっかりしているように伺えた。この光玉は少年の言うとおり人の魂で、いわゆる生霊のようなもので、魔法エリアから完全に抜け出すことで消えるが、少年と私がいる公園は少し魔法を帯びている場所だった。
そういえば、昔、魔法戦争の時代、魔法の制御ができなかったフィリス族の二人の中の一人が悪の一部になって怪物について一緒に葬られたという話があったが、一人が助かった理由はこの人魂の存在にあった。