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1.

 初等教育課程の時はなんだっただろうか。初めての共通語(標準語)で丁寧に書かれていた内容が、年々難しい言い回しになっていっている。内容は同じくせに。毎回同じ話を載せるな。など言おうものなら、今年の査定は「反抗心有り」というコメントと共にかなり下げられるだろう。

(それは困るんだよなあ)

 ため息に聞こえないよう、静かに息を吐く。しかし女性教官の目も耳も騙せなかったようだ。

「フィリア・エイン訓練生」

(地獄耳かよー)

 フィリアはギュッと目を閉じた。

「教科書のページが違うようだ」

「はい、対帝国戦争時代でしたので、もう一度三国同盟の成り立ちを確認しておりました」

 焦りなど見せず、冷静に。この程度、フィリアにとっては造作もない。教官も納得したようだ。頷いてから、また授業を再開させる。

「そう。今では共通の敵がいるため同盟を締結しているが、かつては何度も争ってきた仲だ。諸君らも知っていると思うが、特にテオドリカ帝国との戦争が一番大きく、酷かったと記録されている」


 理由は資源だった。

 陸は恵まれている。土、外気、太陽のお陰で、食糧にほとんど困る事が無い。対して人工光に照らされ、申し訳程度の改良芝や改良植物が、通りや公園にあるくらい。このオルカニア連邦が、喉から手が出る程欲しているものが、テオドリカ帝国には溢れている。

(そりゃ、戦争にもなるよ)

 連邦の強みと言えば、海中にあるがゆえの新鮮な海産物、海底資源と栄養不足をどうにかしようと先人たちが試行錯誤した結果、伸ばしまくった医療分野だ。勝負は見えている。はずなのに、規模が大きくなったのは、これもまた医療と共に発展した機械技術、兵器開発のおかげらしい。豊富な資源を持つがゆえに傲慢になっていた帝国は、相手にもならないと思っていた連邦に随分と苦戦し、両国の戦争は激化。お互いの疲弊で休戦と開戦を何度も繰り返す。このような歴史があるからか、同盟を結んでから100年近く経つが、連邦は帝国とあまり仲良くはない。陽気なアエリュシオン人はこの二国の状況を、本気で手を叩いて笑っているレベルだ。

 こんなに大きな資源争いをしているのに他国への侵略という話は出ない。理由はシンプルで、この世界の住民は、他国の環境では長く生きる事ができなかった。身体がもって1年と少し、という記録がある。そのため、侵略という行動は、国内での紛争で多かったらしい。太陽の恵みが多いアエリュシオンと帝国では、より良い環境を得るために、国内で贅沢な紛争があったと。


「今日の歴史の授業はここまでにする」

 女性教官の凛々しい声が、静かな教室に響いた。

どの世界も義務教育ってとてもとてもつまらない。

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