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すっかり手玉にとられている俺

「んぐっ……!?」


 自室にてボォっとスマホで動画を眺めていると、突然花音からRINEが入ってきた。


 トークルームには花音によく似た青い目をして、金色の毛色をしたミニチュアダックスフントの"キャノちゃん"が【すき】と書かれた、真っ赤なハートを胸に抱えている。



A.KOUDUKI『何?』



 すき、という文字の書かれたキャノちゃんのスタンプにドキッとしたけど、それを字面に出すと絶対に揶揄われると思い、平静を装って、短い返事を返す。


すると、笑顔のキャノちゃんが"パアア!!"といった擬音語と共に、笑顔を浮かべているスタンプが返されてきた。

この笑顔、花音が笑った時とよく似ていて、とても可愛いと普段から感じている。




花音『今週末のお昼あたりから、タネちゃん達とうちの庭でBBQしようって話になって!』


花音『できたら葵くんもきてくれたらなぁっと!』


花音『大半が森のカフェグループ!』


花音『ヨッシーと美海ちゃんもいっしょだよ!』



 花音はヨッシーこと吉川 穂奈さんとは元々仲良しなのは知っていたけど、まさか属性の違う田中 美海さんとも仲良くなっていたとは……やはり陽キャ恐るべしである。



 今週末のお昼といえば、はまっているスマホゲーでの、これまた昔から大好きな作品とのコラボイベントが開始される時間だ。

レイドボスイベントもあるとのことで……初日からぜひそのイベントに参加し、ランキング1位を目指すべく、俺はここ最近キャラ育成を頑張っていたわけで……



A.KOUDUKI『ごめん。ちょっと週末は用事があって……』



 と、返すと、暗い背景で地面に突っ伏して"うわぁぁぁん!"泣いているキャノちゃんのスタンプが!?



花音『私のことより、ゲームの方が大事なんだ!?』



 ぐっ!? そういえば、あのゲームは花音に頼まれてインストールしてあげたけど……まさか本当にやってるだなんて……!


 しかも、なんか無茶苦茶ショックを受けてるみたいだし……




A.KOUDUKI『やっぱり参加します。時間と場所は?』

 


 そう返信すると、すぐさまありがとうの文字が書かれた桜の花びらを抱えるキャノちゃんのスタンプが返される。



花音『なんかわがまま言ったみたいでごめんね?』


A.KOUDUKI『いや、別に』


花音『本当?』


花音『怒ったりとかしてない……?』



 よくよく自分の返事を見てみると、なんとなく怒って見えるような気がした。


 これはよくない。


 ちなみに俺は全く怒ってなんかおりません。



A.KOUDUKI『全然、怒ってないよ!』


A.KOUDUKI『むしろ花音の言う通りだと思ったんだ』


A.KOUDUKI『ゲームなんかより、花音との時間の方が大切だって気づいたからね!』



 すぐに既読がついた。


 でもなかなか返事がないのは、もしかして花音の奴恥ずかしがって……っ!?


 唐突に、花音はキャノちゃんの"好き"スタンプを、連続で、大量に、これでもかと送り付けてくる。


 トークルームに"キャノちゃん好き旋風"が巻き起こる!



花音『やっぱり葵くん、かっこいい!!』


花音『また惚れ直しちゃったぞ♡』


花音『てぇ、わけで……』


花音『サービス♡』



 スタンプと思いきや、今度は写真。しかも水着姿の花音!!


 おそらく自撮りなんだろうけど、撮り方がめちゃくちゃ上手くて、ついつい見惚れてしまう……主に花音の大きな胸の谷間の辺りに……!



花音『あー、また私の胸ばっかみてるぅ〜』



 もう花音って、俺のことなら姿を見なくても、なんでもお見通しなのね……


 だったらもうっ!



A.KOUDUKI『ごちそうさまでした』


A.KOUDUKI『ありがたく頂戴し、活用させていただきます!』


花音『活用しちゃうの!?』


A.KOUDUKI『せっかくいただいたものだからね!』



 すぐに既読がつくも、返事はなし。


さすがに下ネタが過ぎただろうか……?


ここはやっぱり、冗談でしたと返事を返した方が……




花音『だったらその気持ち、明日放課後まで取っといてほしいかな?』



 ふわっ!?



花音『明日、お父さんとお母さん、出かけてるから』


花音『うちにきても大丈夫だよ?』



 こ、これはつまり……!


 明日は久々に、そういうことをしても良いよと言う、宣言……なのか!?




A.KOUDUKI『明日、行きます。予定空けときます』


花音『ありがと!』


花音『楽しみにしてるね!』



 そしてこの日は、ラジャーと敬礼をしているキャノちゃんのスタンプでやり取りが終わるのだった。


 付き合い始めてからというもの、すっかり花音の手玉に取られているような気がする俺。


 でも、案外こういう関係って、うちの両親みたいで悪くないなと思う今日この頃であった。


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