第85話 花音と心と体が一つになった日
「ーーっ!?」
「にひひ……」
花音はイタズラっぽい笑みを浮かべつつ、こたつの中で足を絡めてきた。
何をしたいのかよくわからない。
でもやられっぱなしは悔しいので、俺も同じことをやり返す。
こたつの中で俺と花音の足が激しい絡み合いを続けている。
やがて、不意に花音はその行為をやめて立ち上がり……
「ちょっと寄って♩」
「お、おい!?」
なぜか花音は無理やり、俺の隣の座って着て、再びこたつへ足を突っ込んだ。
「なんで、隣に……? 狭くない?」
「知ってる? こうして隣同士で座った方が、とい面とかで座るよりも心の距離がグッと縮まるんだって!」
「そ、そうなんだ……」
肩と肩が強すぎるくらい密着し合っている。
先ほどまでの激しさではないけれど、花音は甘えるようにこたつの中で足を絡ませて来ている。
緩やかだけど、俺の手を握ってくれている。
二の腕のあたりに、柔らかな花音の胸の感触がある。
意識をしなくとも体のあらゆるところで、花守 花音っていう女の子の存在を強く認識できる。
そうして思い出されたのは、クリキャンの時、みんなに隠れてした甘いキスの感触。
「か、花音っ……!」
「なに?」
「えっと、その……キス、しても……?」
俺がそう言った途端、花音の顔が一瞬で炎のように染まった。
「う、うん……いいよぉ……! てか、さ……」
「ん?」
「次からは、えっと、許可なんていらないから! 葵くんがキスしたいなって思ったら、パッとしちゃって良いから! 葵くんとのキスだったらいつでもウェルカムだから! 私、葵くんとキスしたいなって、いっつも考えてるから! だからっ……!」
花音は珍しく早口でそう捲し立てた。
そっと目を閉じて、艶やかな唇を向けてくる。
そして俺たちは新年早々、4度目のキスを交わすのだった。
前回のキスの時は緊張のためか、すぐに唇を離してしまった。だけど今回はできるだけ長く、花音と唇を重ねていたいと思う。
「んんっ……んふぅ……」
花音も俺と同じ気持ちなのか、なかなか重ねた唇を離そうとはしない。
そんな状態が長く続いていると、ふとやってみたいことが思い浮かんだわけで……
「んんっ!?」
舌でほんの少し花音の唇をこじ開けて、先端でノックをするみたく、前歯を叩いてみる。
「んっ……! んんっ……! んふぅ……んはっ……!」
舌で前歯を叩くたびに、花音は可愛らしい唸りを上げつつ、ビクっ! ビクッ! っと、体を震わせていた。
繋いだ手にもギュッと力が込められる。どうやら、恥ずかしがっているらしい。
めちゃくちゃ可愛い。そして男として元来持ち合わせている、支配欲が強く満たされる。
俺は花音のリアクションが楽しくて、愛おしくてしばらく同じことを繰り返す。
すると突然舌がするりと抜ける感覚を得た。
「んっ!? んはぁ……」
舌先がザラついた感触と、ちょっとあんこっぽい甘さを得た。
どうやら俺の舌は、花音の前歯を割り、口の中まで侵入してしまったらしい。
だけど花音は全く嫌がるそぶりを見せない。むしろ、より強く俺の手を握りしめて、離すまいとしてくる。
ならば遠慮はしないと、俺は花音を舐り始めた。
最初こそ、俺の一方通行だった。しかしやがて、花音の舌も積極的に俺のことを求め始めた。
俺たちは湧き起こる淫靡な水音を耳にしつつ、キスに溺れて行く。
そしてこうした激しいキスをしていると、また別のしたいことが浮かび上がってくるわけで。
この状況なら、試してみるくらいは問題ないだろうと、花音自慢の"そこへ"手を伸ばす。
「っ……!?」
驚いたのだろうか、花音は一瞬腰を浮かせた。でも、ただそれだけで、あとはおとなしく俺の行為に甘んじる。
俺は初めて触れた女性の、花音の柔らかに陶酔してゆく。
ふと、そんな中、自分の太もも辺りにも、ゾワゾワとした感触が。
花音が、俺の太ももあたりをしきりにさすっていたのだ。そのこそばゆくもあり、でも心地よい感触に俺自身も息を荒げ始める。
これはもしかして、本当にいいのだろうか……これ以上をしてしまっても……。
もしも嫌なら何かしらのリアクションが帰ってくるはずだ。そう、想定しておけば、拒否されてもダメージは少ない。
よし、やってみるか……! と意を決し、立ち上がる。
花音も合わせて立ち上がってくれる。
そうして俺たちは激しいキスを継続しつつ、そのままベッドへ倒れ込むのだった。
「はぁ……はぁ……はぁあぁ……」
いつも寝ているベッドの上。そこには、頬を朱に染めて、お互いの唾液で唇を濡らし、青い瞳を小刻みに震わせている花音の姿が。
呼吸が荒くなっているためか、花音自慢の大きな胸が激しい上下を繰り返している。
「良いのか……?」
声を震わせながら、そう花音へ問いかける。
ややあって、彼女は恥ずかしそうにそっぽを向きつつ、それでもコクン、と小さく首を縦に振るのだった。
「その前に、カバン……」
「カバン?」
「私のカバン、開けて」
花音へ覆い被さったまま、こたつの上に置いてあった小さな肩掛け鞄を手に取った。
蓋をあけると、そこには何かを封じた小さな紙袋が一つ。
それを手に取り、中身を取り出す。
未開封のコンドームだった。
これまでは予感でしかなかったこの先の展開が、一気に現実味を帯び始める。
「こんなのいつの間に?」
「さっき、お餅と一緒に買ったの……もしもの時はちゃんと用意しなさいって、タネちゃんに言われてて……」
「ごめん、気が利かなくて……」
本来は彼氏として、自分がちゃんと用意すべきだったと反省する。
「次は葵くんが用意してね? 買うの、結構恥ずかしかったんだから……」
「すみません。ちゃんと次からは俺が用意します」
「よろしくね……!」
少しいつもの感じで喋ったのが良かったのか、お互いに表情から硬さが抜けた気がした。
今が始めるのに絶好の機会なのは間違いない。
「じゃあ、始めるよ、花音……」
「ん……来て、葵くんっ……!」
ーーそれから俺は大事なプレゼントの包装を解くように、徐々に花音を、産まれた時の姿へ変えて行った。
その上で大事な彼女を隅々まで愛してゆく。やがて気持ちが高まり、俺も花音と同じ姿となって。
新品のコンドームを開いて、そして……お互いの1番弱いところを、曝け出し合いながら、深いつながりへと移ってゆく。
花音の熱い眼差しと、艶やかな声に俺は終始興奮しっぱなしだった。
初めて他人に背中へ指の爪をを突き立てられたのだけれど、その痛みさえも心地よく感じるほどだった。
そして2人で迎える最果ての瞬間は、強い快感と精神的な満足感を得られるものなのだと、この時思い知るのだった。
「……やっぱ、今日は晴れ着着てこなくて正解だったなぁ……」
ふと、俺にぴったり体を寄せて余韻に浸っている裸の花音が、そんなことを口走る。
「もしかして、こうなるって予感してた……?」
「予感っていうよりも、そうなったら良いなぁって……晴れ着ってさ、可愛いけど、一度脱いじゃうと着るの難しいから……だから今日は普通の服にしたんだぁ……」
「そうなんだ」
まさかそこまで想定していたとは驚きだった。そして出会った当初、花音が晴れ着姿で無いことに落胆した自分が浅はかに思えて仕方がない。
「あとさ、もし葵くんとできるなら、やっぱり今日みたいな日の方が、思い出になるだろうなぁって……お正月が来る度に、葵くんとの初めてを思い出せるようになりたいなぁって……」
なんとも可愛い花音の発言に胸がかっと熱くなる。
そして同時に、俺もまた、再び目覚めてしまったわけで……
「あれ? また?」
「うぐっ……ま、まぁ……花音、時間は大丈夫……?」
「まだ大丈夫だよ。葵くんの家と同じく、うちのお父さんとお母さんも帰ってくるの夜遅くだろうし」
「そっか。じゃあ……」
「まって!」
「ん?」
「さっきは葵くんにいっぱいしてもらったから、今度は私からさせて? 私、葵くんにしてあげたいこと、いーっぱいあるんだから!」
ーーそうして俺たちは、再び深い繋がりの行為を始める。
花音は宣言通り、恥ずかしがりながらも、俺が気持ちよくなれるよう色々なことをしてくれた。
どうやらこういう日がいつか来るだろうと、自分なりにネットなどをみて勉強したらしい。
そうした献身的な態度は、より強く花音の愛の深さを感じさせ、俺を先ほど以上に興奮させる。
新年早々、俺は遂に花音と一線を越えることができた。
今年は本当に、良い年になりそうだと思うのだった。
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次回の更新は展開の都合上"3話分連続更新"となります。
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