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1話 探偵と魔女
何も無い空間がただ広がっている。その中央に佇む1人の女性。いわゆる魔法使いの格好をしたその女性がこちらに気がつく。
「いらっしゃい。「探偵」さんがた?」
周りをみると、さっきまで僕と女性以外誰もいなかったはずの空間に、他に2人の人がいることに気がついた。「探偵」というのは僕たちのことだろうか。
なんとなく、頭にもやがかかったように記憶がはっきりしない。
「そんなに身構えなくていいわ」
ここはどこだ?この人はなんなんだ?
当然の疑問を抱く僕たちの心を見透かすように、付け加える。
「私は…そうね、「魔女」とでも名乗っておくわ」
「魔女」を名乗ったその女性は飄々と言う。
「ここはーーー私の遊び場」
未だ状況が掴めずにいる僕たちを前に、スラスラと話を続ける。
「貴方たちには、私の作った遊戯で遊んでもらうわ」
魔女の提示する遊戯なんてロクなものじゃない。僕たちは身構える。
「…ま、そりゃ警戒するわよね。でも、あくまで公平な遊戯よ。じゃ、早速ルール説明に入るわね」
…どうやら、僕たちに拒否権は無いらしい。