僕の積み重ねた鬱がこぼれたもの
心が少し不安定になると、自分はしょうもない人間だと思う。 少し人に嘘を付いたら、綺麗な自分でいられなかった事に、死にたくなるくらいの罪悪感を感じる。誰にも嫌われたくなくて、自分を押し殺している。そんな日々が続いて、ふとしたきっかけで鬱になると、僕は小説を書く。この鬱屈とした感情から、人の心を震わす何かができたら、僕が今苦しんでいるのも、無駄では無いと思えるから。宝くじを当てるよりも儚い希望に、僕は囚われている。そんな情けない、一般人の僕。
何もネタが思い浮かばないから、思ったことを書き連ねていこうと思う。孤独な老人が1人、部屋に佇んでていた。老人の顔には皺が深く刻み込まれていて、椅子に座って動かず、ただ時が経つのを待っているその様は、まるで人型の樹木のよう。しばらくそうして、老人はスマートフォンを取り出す。そして震える手で、キーボードを打っている。目は虚ろで、ただスマートフォンの画面を一点に見つめ、スマートフォンに文字を刻む、孤独な老人。老人は言う。僕は昔、友達が多くいた。一緒に飲みに行ったり、遊びに行ったりして、それはそれで楽しかった。でも、どれだけ親しくなっても、僕は他人に心を許すことができなかったんだ。友達の前では素でいる振りをしようと勤めていた。実際素に近い自分でいられる時も何度かあったのだと思う。しかし心の奥底では、僕の何気ない一言や行動で関係値が壊れることに恐怖し、影で何を言われているのか気になり、僕は自分を演じることしかできなくなったんだーー老人はキーボードを打つ手を止めることなく、ひたすら書き連ねた。
老人の部屋には、煙草の匂いが充満していた。老人は毎日煙草を吸っていた。吸い殻を灰皿に入れることすら、今日は億劫になって、その辺に放り投げていた。人を信じることができない僕は、孤独に生きるしか無かった。恋人ができたことなど無いし、友達はいたがその本質はただ世間から外れたくないだけのもの。唯一、両親と弟には心を許していたが、家族の前では自分の醜い部分を出しているのに、他人の前では怖くて自分の醜い部分を出せない、そんな自分の弱さにも腹が立って、逆に自分への嫌悪感を加速させる要因になった。また、外で優しい自分になろうとしているから、家族にも優しくしなければ、自分に嘘を付いているような気がして、結局家族にもどこか気を遣う気持ちが生まれていたのも嫌だった。優しい両親と可愛い弟の前でも、本当の自分を全て曝け出せないから、ではどこで曝け出せば良いのだろうと、ずっと葛藤している。捨てた煙草の吸い殻が燃え移って、部屋に火が回り始めた。
死にたい。
死にたい。
やっぱり死にたくない。
死にたいと軽率に書いている、自分が嫌い。
本当は死ぬ勇気なんてないのに、死にたいと書けば良いと思っている自分が嫌いだ。
死にたくない。
死にたくない。
死にたくない。
死にたいと軽率に、自分に嘘を付いて、言ったことを、死にたくないと書いて、上書きしようとしている。
死にたくない。
死にたくない。
どうしよう。
どうしたら俺は、良い人間になれる?
煙草の火が回って、やがて部屋中を覆い尽くした。
もうどうでもいい。
って思ったら一瞬は楽になった。何故なら、もうどうでもいいって思うことを、俺は格好いいと思っているから。つまり、本当にどうでもいいなんて思っていない。格好よくて、自己肯定感が少し上がっただけ。だから一晩寝れば、また鬱になる日々が始まる。
孤独の老人を襲う火の海は、恐ろしかった。
嫌だ。俺は嫌だ。
嫌だとしか言えない。
どうやったら納得する?
どうやったらこの無限地獄を抜け出せる?
誰か助けて。
助けて。
俺は本当は優しい人間なんかじゃないんだ。
性格も悪くて、意地汚くて、人を馬鹿にすることを楽しがるような人間なんだ。
俺の本質はクソ野郎だから、もう誰も構わないでくれ。
無理だ。
生きるの、難しい。
飛び降りるのを、本気で考えている。
YouTubeの動画を見ていても、最近面白くない。