7/18
第7話:本物の恋になるために――夜に交わした約束
王都の夜は静かに降りていた。
儀式を前にした緊張と不安が胸を締め付ける。
「こんな夜に、なんでここに来たの?」
私は声を潜めて聞いた。
セレスティア様は星空を見上げながら、ゆっくりと答えた。
「あなたとなら、逃げられないと思ったの」
その言葉に、胸が痛んだ。
“偽の恋人”だったはずなのに、今はどうしようもなく“本物”の気持ちが混じり始めている。
「私……セレスティア様のこと、守りたい」
思わずそう口にしたら、彼女は微笑んだ。
「わたしも……梓となら、本気で向き合える気がする」
その時、そっと彼女が差し出した手を握る。
冷たくも温かい感触が伝わる。
「これから始まる戦いは、二人の“真実”を試すもの」
セレスティア様の目が、揺るぎない強さを宿していた。
「だから、怖がらないで。私たちは、きっと大丈夫」
夜空の星たちが、その誓いを見守っているようだった。