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第17話:氷の仮面剣士、恋を斬る冷徹の剣
王都恋愛武闘会、第二試合。
控室の扉が重く開き、黒い仮面をつけた剣士が現れた。
冷たいオーラを纏い、周囲の空気が凍りつく。
「私の名はヴァルド。恋は弱さ。私はそれを斬り捨てる」
梓の心臓が強く鼓動する。
「恋を捨てた剣士……そんな人がいるんだ」
ヴァルドは冷ややかな視線で梓を見据えた。
「戦い方を教えよう。剣は理性で振るうものだ」
剣を抜く音が響き、対戦開始の合図。
ヴァルドの攻撃は容赦なく、だが感情を込めていない。
梓は反射的に《恋盾・双心》を展開し、セレスティアとの心の絆を感じながら受け止める。
「梓! 私がいるわ!」
セレスティアの声が梓の中に響く。
二人の心が共鳴し始めると、梓の体が光り輝いた。
「共鳴技、発動……!」
輝く剣がヴァルドの剣を打ち砕き、彼の仮面を粉々にした。
その瞬間、ヴァルドの表情が初めて見えた。
冷たさの中に、わずかな戸惑いがあった。
「…恋が、ここまで強いとは……」
観客席は大歓声に包まれ、梓は震える手でセレスティアの手を握った。
「これが、私たちの力――!」