第16話:恋の戦場へ、恋愛武闘会開幕!
王都の中央広場――
そこに設けられた特設ステージは、豪奢な花と魔導灯で飾られていた。
「本日、王都にて開催されるのは――!」
「年に一度の大イベント、《王都恋愛武闘会》でございますーッ!!」
司会の魔導アナウンサーが、空中に映像を投影する。
観客は王侯貴族から一般市民までぎっしり。
「勝者には“王家認定の恋愛称号”が授与され、
あらゆる婚姻や契約に優位となる、究極の恋の証明が与えられる!」
「……なんだか、完全に“恋愛=戦争”ですね」
梓は苦笑いしながら、控室でセレスティアと待機していた。
「でも私、もう迷わないです。
私の恋は――セレスティア様に、向いてますから」
セレスティア様がやさしく微笑む。
「……嬉しいわ。私も、あなたを信じてる」
そのとき。控室の扉が開いた。
「ようやく会えたな、梓」
現れたのは、気障な笑みを浮かべた青年――
「ルーク=カーヴェン。セレスティア様の元・婚約者よ」
「へ、元婚約者!?」
「この武闘会で、おまえがどれだけ“彼女を愛しているか”見せてもらおう。
……いや、できれば、打ち砕かせてもらうよ。彼女を惑わす偽りの恋をな」
【第一試合:梓 vs ルーク】
「ふたりとも、バトルフィールドへ!」
ステージに立った梓とルーク。
開始と同時に、ルークのスキルが炸裂する。
《貴族の誘惑》
効果:視線を合わせた異性の心を30秒間“自分に恋していると錯覚”させる
「さあ、僕の魅力に抗えるかな?」
が、梓の表情は――微動だにしない。
「……すごく自信家で、ナルシストで、でも……セレスティア様にフラれた理由、わかります」
《恋盾・反射モード》発動!
相手の“強制的な恋愛干渉”を打ち返す!
「なっ、ま、待て……これは誤解だ、僕はまだ本気を――」
ルークの目が一瞬うつろになり、自分に頬を染めた。
「……はっ、こ、これは僕が僕に恋している!?」
リングアウト。
「勝者、梓ァァァーーーッ!!!」
「……恋って、強いのね」
セレスティア様は、客席から見守りながら小さくつぶやいた。
試合後。
梓は控室で、ある違和感に気づく。
《スキル進化確認》
《恋盾》→《恋盾・双心》
効果:恋人の心が強く共鳴しているとき、任意の“連携技”を使用可能に。
「連携技……?」
扉の外では、次なる刺客たちが待ち構えていた。
・氷の仮面をかぶった「恋を捨てた剣士」
・激情の舞踏魔法を操る「貴族令嬢ユーリエ」
・そして――謎の覆面少女。
恋と戦いのバトルフィールドは、まだまだ終わらない!