表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神代物語  作者: J・WEST
3/4

予算編成と写真集・中

「なんで俺がこんなめに…」

ブツブツもぐもぐ

うん、うまい!


「文句ばっかり言わないの!しっかり苺大福貰ってるくせに」

それはそれ、これはこれなんだよさらら君。

しかし本当に美味しいな、これ。

ほっぺが落ちそうだ。食べるだけで幸せになれるなんて……はぁ、幸せ…


「むむ、良い笑顔だ志乃介君!チャンスだ綾奈!」

「はい!ご主人様!」


パシャパシャパシャ!


部屋にカメラの音がこだまする。

会長の指示を受けた綾奈さんが的確に写真に収めていく。

その動きは素晴らしく連携が取れていて熟練された軍隊のよう。


……その能力もっと別のことにつかってくれ。

宝の持ち腐れとはこのことだ、ちくしょーめ。


「しかし本当にきれいだね…かのビーナスだって裸足で逃げ出すだろう」

「本当だよぉ。女として嫉妬しちゃうねぇ。ね、さらら?」「な、なんで私にふるかな?…確かに似合っててきれいだけどさ……」


キラキラおめめの隼人さんと詩歌とどんよりまなこのさららがとっても対照的です。はい。

ていうかきれいとか言われてもピンと来ない…


「隼人さんだってその服似合ってますよ」

うん、これ以上ないくらい似合ってる。

「がっはっは!確かにな!似合ってるぞ、隼人!ホストにしか見えんがな!」

そう、まさにその通り。

隼人さんは執事というよりホストに見える。

いや、“見える”だけじゃないな。そうとしか見えないのだ。


黒いはずの執事服は何を思ったか、真っ白に染めあがっていて、首にはネクタイと第一から第三ボタンまでなくちらと胸板が見えるようになっているのだ。


ほんと…高校生には見えねぇな。

…まぁもっとも、高校生には見えないのは隼人さんだけじゃないけど。


「そう言う剛もヤクザにしか見えないよ…」

「はっ!そうか?まぁわしにそれだけ貫禄があるということだな!」

そう言ってまたがっはっはと豪快に笑うヤクザの親分。

…もといヤクザのような執事服を着た剛さん。


うーん…普通に燕尾服のはず何だけどなぁ…。なぜだ?



「うむ…しかしこれだけコスプレしてると何か危ない店のようだな…」


「…何バカなこと言ってんですか…」

「しかし、アレだぞ?皆、美少女だから多分成功すると思うぞ?これは文化祭の出し物が決まったか…?」

「!!?止めて下さいよ!?第一俺は男ですから!」

「何言ってんのぉ。こんな大きなモノ持ってるくせにぃ」


むに


「ひゃっ!ちょっと詩歌何すんだよ」

「むぅ…大きい…。コレで男なんて勿体なさすぎるぅ…、ちょっとぐらい分けて欲しい…ねぇ、小夜さん?」

「全くだ、なんて理不尽なのだ……ってはっ!?ち、違うぞ!?い、今のはその…」

詩歌のキラーパスに思わず頷いてしまった小夜さんが真っ赤になって否定している。

今更遅い。さっきまでさららの胸を羨ましそうに見ていたことは知っているんですよ?


ヤバい…イタズラっ子としてこれはほっておけない…


ていうか、いつまで揉んでんだテメーは…

危ない目をして人の胸を揉みまくるアホにチョップをかまして止めた後、まだ言い訳をしている小夜 さんに追い討ちをかける。


「そんなに俺とさららの胸が羨ましいですか?」


小夜さんがびくっとしてコッチをみる。と同時に顔を赤らめて両手をかき抱くようにして胸を隠すさらら。その反応グッジョブ!


「そ、そそそそんなことないぞ!?む、胸なんてあったって邪魔なだけだからな!」

「そんな必死に否定しちゃって…羨ましいならそう言ってくれれば良いじゃないですか。胸を大きくする秘薬とかあるんですよ?」

「…それ、本当か?」

「あれ?気になるんですか?」

「ぐっ…気になるわけない…!」

「そうですか…それはそれは残念ですね。せっかく作ってあげようと…」

「なに!?作れるのか!?」

「作れません♪」

「!!??」

「そんな反応しちゃって…本当は気になるんじゃないですか!」

「う、うわぁぁぁん!!」


ふ…決まった…


小夜さんは羞恥心(決してバカキャラ三人組の方ではない……古いか!)の臨界点を突破したらしく顔をさらに真っ赤(あんどちょい涙目)にして悲鳴をあげながら部屋を勢いよく飛び出していった。


はぁ…素晴らしい反応………これだから小夜さんいじりは止められない、止まらない。


「むむ!その笑顔もグッドだ!綾奈!」「イエス、マイロード!」

…どこの執事だ、それは。

綾奈さんはあくまでメイドでしょう?


はぁ、もう。せっかくの余韻が…


「…アンタも良くやるわね。流石に小夜さんが可哀相だよ?」

「んー、でもあれがあの人の一番の魅力だろ?」

「……まぁ」


認めちゃったよ。

そうか、さららもそう思うか。


「でもま、今後のためにフォロー行っとくか…」

コレを理由に修行に付き合わされたらかなわん。


スタスタと小夜さんが出て行った扉の方に歩いているくと、ミス・パーフェクトに呼び止められた。

「小夜ちゃんならすぐ帰ってきますよ」

む?いやに断定した言い方だなぁ…


「なんでです?」

その問いにふふふ、とイタズラを仕掛けた少女のような可憐な笑顔を見せる綾奈さん。


あぁ、本当にキレイだなこの人。

会長さえ絡まなければここまで輝くのだ。

まさに学園のアイドル。

生徒会の人気も頷ける。


まぁ会長が絡んだだら絡んだで輝いているけど。

主にお笑いの方向に。


そんなコトよりも今は小夜さんだ、小夜さん。


うーん、すぐ帰るとはどういうことだ?

綾奈さんは教えてくれないし…


そこでふと会長を見てみると、なんとまぁ薄く笑っていやがりました。

これは、アレだね。

完っ全に何かしくでるね。

そして俺たちはもう引っかかっていると。


はぁ…

まさに気分は蟻。

蟻地獄に掛かった哀れな働き者さ。


自らの人生と仲間の悲運を全力で嘆いていると、急に悲鳴が聞こえた。


その声は何かに追われているかのようだ。


何…ソレ…?

追われてる?

何があったの小夜さん…!


確認せずとも、どうしようもなく小夜さんなその声は現実逃避の暇を与えず、だんだんと近づいいてきた。



ガラッ!わぁー…

ガラッッッ!

「うわぁぁぁぁん!」

「うわっ!」

一瞬で扉を開け閉めした小夜さんが泣きながら入ってきた。

「人がぁ、人がねぇ…」

「だ、大丈夫ですか!?しっかりして下さい!」

「うぇ、ひっ…人がぁいっぱいなのぉ」

ダメだ…

あまりの衝撃だったのか幼児化している小夜さんに原因究明は不可能だ。


…いや、正気に戻せば良いんだろうけどこんな可愛い小夜さん戻すなんて俺には出来ない!


「うぅ、しのぉ…」

小夜さんが涙目をうるうるさせて俺を上目使いで見つめてくる。

う、可愛い…

なんとも庇護欲をきゅんきゅん刺激される…


はっ!コレがギャップ萌というヤツか!

「な~に鼻の下伸ばしてるのか~なぁ~?」


途端、後ろから冷気が。絶対零度な殺気が!

恐怖で固まっている首を必死に動かしぎこちなく後ろをむく。

するとそこには…



ひっ!!!



お、鬼が!

牛鬼が!


「ど、どウしタノ…?さ、さららサン…」

恐怖で呂律が回らない。

「ん~別に~」

「お、怒るなよー…」

「怒ってなんかないヨ?」

怒ってる!

どうしようもなく怒ってる!


「なぁ、機嫌直し…ひぃ!」

睨まれたぁ!


うぅ何で俺がこんな目に…


「まぁまぁもう良いじゃないさららぁ、許してあげなよぉ?」

おぉ救いの女神、詩歌様々。


「許すも何も、怒って無いじゃない」

俺のときよりか幾分マシな視線で詩歌をみるさらら。


だがまだひとにらみでバナナをトンカチに変えるだろう。


あなおそろしや。


「怒ってるよ~、でも今はそれよりも小夜さんのことでしょお?」

「怒ってないのに…」

ブツブツ。


正論だと思ったのか小さく文句を言いつつも、先ほどまでの剣呑な雰囲気は霧散していた。


ビクビクしていた皆さんもほっとしている。


平気なのはいつものほほんとしている綾奈と綾奈さんで慣れている会長、詩歌くらいか…


しかし詩歌すげぇ…。トリップしていた小夜さんは泣き止んで呆然としていた。


どうでも良いけど小夜さん、あなたはまだ俺の腕の中何ですけど…


「もしもし小夜さん?」

小夜さんの目の前で手をヒラヒラ。

気ずくかな…?


「え?…わぁっ!!し、ししししの!」

ばっ!っと効果音を上げながら俺から離れる。


うーん、ちょっと残念。


「小夜さんさっきの騒動何だったんですか?」

「追われてたみたいだけど?」

隼人さんも気になるようだ。


「さっきのは…」

小夜さんはそこまで口を開き、急に思い出したのか腕をかき抱いきぶるぶる震え再び沈黙する。


そんなにトラウマなのか…


小夜さんは一向に答えてくれない…


ふっ、ここは名探偵志乃介の登場だな!

まず被害者の情況をよく思い出してみよう。

彼女が叫び声をあげながら生徒会室に入って来た時、一瞬だったが彼女の背後で無数の生徒がいた。それも男女。

わぁーわぁー言うっとったな。

まるでアイドルを追うかのように…

あるいはパンダが初めて日本に来たときのような…


いや、実際は知らないよ?

上野動物園すら行ったコトないし。


つまり何が言いたいかと言うと。


生徒諸君は希少で興味を引かれるモノに騒いでいたといことだ。


問題は何に騒いでいたかだが…

さてここで小夜さんをよおく見てみよう。


彼女はいまだ震えていた。


普段は着ないであろう、メイド服で。



あちゃぁ…


そりゃ、生徒騒ぐよ。

下手したら追っかけ回しすかもしれない。

いや絶対そうだ!

断言できる!

コレは決して言い過ぎではない。


だって小夜さんは和風美人だし。

ファンめっちゃいるし。

その比率が男女同じくらいなのがまた凄いよな。時々袴姿でいるしからな、アレすげぇ似合っててかっこいいからな。だから女子にも好きな人がいるのだろう。尊敬できる人だしな。

うむ、事件は無事解明されたな!


ふと気がつくと部屋内が静かだったので、見回してみたら皆さん同情的な表情で小夜さんを見つめていた。


きっと皆さん同じ推理をしたんだろうな。

ただ会長と綾奈さんは分かってたみたいだけど。


「綾奈さんが言ってたすぐ帰ってくるってこういうことだったんですね」

「ええ。その格好は目立つもの」


のほほんと綾奈さん。

メイド服と相まって癒やし効果倍増だ。


「でもそうなると、外に出れないですよね?」

ポツリとさららが呟いた。


あぁ、まぁ確かに。

トイレにも行けないではないか。


「うむ、尤もな質問だな。このまま外に出れば先ほどの二の舞になるだろう」


うへぇ、それはヤダ。


「それは…じゃあどうするんでかぁ?」

まったりお嬢様も流石に嫌がるか。

トイレ行くだけで大騒ぎ、なんてなりかねんからな。


俺なんて特に本来の姿ですらないし。

メイド服で見知らぬ女が学校を闊歩してるなんて…

普通に不審者じゃん。


捕まる前にどうにかしないと。


「ほんと、どうするんです?」


「うん、実はな…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ