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神代物語  作者: J・WEST
2/4

予算編成と写真集・上

この小説には駄文注意報が発令されました!

「オハヨ」

「おはよーぅ!」

俺の後から相変わらずのでっかい声を響かせて、さららが入って来た。

さららとは同じクラスなんだよね。

流石は幼なじみ、腐れ縁が続くな。

しかし小学校から今まで同じクラスだとお兄さんちょっと戦慄します。

俺は何もやってないからもしかしたらさららが…

…アホなこと考えるのはよそう。

ちなみにもう一人の一年である、詩歌は隣のクラス。


窓際最後尾という素晴らしい定位置に着くと前の席のヤツが声を掛けてきた。

「おはよう、今日もいい天気だな!」

「ああ、おはよう」

キラリと輝く白い歯を見せてサワヤカに笑うコイツは高島弟の高島孝治だ。

孝治と右隣の委員長は貴重な一般人で俺の心のオアシスとなっている。

「…おはよぅ」

小さな声で委員長が挨拶してきた。

この人は美作緑さん。このクラスの委員長で、身体的特徴はちんまいこと。

小学校かと思うほど各パーツが小さい&幼い。

まぁ、言うなれば可愛いらしい、守ってあげたくなるような娘だ。

「あぁ…、俺は今猛烈に癒やされている…」

「何言ってんだー?急に?」

「…頭打ったの?」

孝治と委員長が気ずかわしげ聞いてくる。

てゆうか委員長ひでぇ。

「生徒会の人達といると常識人が大切に思えてくるんだ」

「あー…あの人達美人だけど強烈だからな」

「…でも生徒会には入れるのは幸運なこと、感謝すべき」

感謝ねぇ…

まぁ生徒会が契約さえ守ってくれればそれで良いけどさ。

「それにしても志乃はよく生徒会には入れたな?やりたそうにはとても見えないし…入りたがっているヤツはいっぱいいるみたいだぞ?」

「…それは私も聞きたいです」

「あー…それはー」

キーンコーンカーンコーンー…

「おらー出歩いているヤツ席につけー」

なんて答えたものかと思案していたら良いところ予鈴がなって、担任の山田ちゃんが入って来た。

乱暴な言葉使いだけどなんだかんだで生徒思いのいい男性教師だ。

そうそう、さっきの話なんだけど孝治は陰陽師のこと知らないんだ。

と言うより、そもそも高島家は普通の家庭で陰陽師とは関係がなかった。だけど今の会長が隼人さんの霊的な素質を見抜き、生徒会に引き入れたんだ。

その後、前生徒会長などの指導の下メキメキと力を付け今では一人前の陰陽師と言われるまでになったらしい。

ちなみに俺がこの話を聞いたのは会長からだ。

隼人さんに当時の修練の様子を気いたら、ブルブル震えて『思い出したくない…』と何度も何度も呟いていた。

よっほど恐ろしかったらしいな。

合掌。


「さぁーて、今日は連絡事項があってな、えー今日から二週間後、部活応援大会があるからな、各々準備しておけ。

お前らは初めてだろうから説明しておくと、この大会の後に全生徒が各部活に投票をする。その結果によって今年度の部活の予算編成が決まるんだ。

部活入っているやつは気合い入れてがんばれ。」

せんせー、大会って何をやるんですかー?

生徒Aが質問する。

いや、名前まだ全員覚えてないのよ。


「それはなー、まぁ部活によって違うな。劇やったり、歌を歌ったり、部活でのスーパープレーの映像流したり。部活に関係あったり無かったりだな。要は何でもありだ。ただ下品なのとかはアウトだな。あと言い忘れてたが、得票数が一番だったところ、つまり優勝だが、をした部活には副賞があるぞ。何かは毎年変わる。理事長の気まぐれだ。」

じゃ、前回の優勝はどこですかー?


これも知らん人、生徒Bだな。


「前回の優勝は生徒会執行部だ」

えっ!?生徒会でんの!?

生徒会は特別だと思って、余裕かましてたら思わぬ伏兵がいたよ。

…なーんか、嫌な予感がしてきたぞ。


生徒会何やったんですかー?

叫び生徒B。

またか、生徒B。


「劇をやってたぞ。かなり本格的だったな」もう質問ないなー?とか言いながら先生は教室を出ていった。


なぬ?劇?なら今回も劇か?

いや、しかしあのアホ会長のことだ、きっと何かやらかしてくる。


そんな言い知れない不安を抱えながらも、考えても仕方ないと割り切り授業の準備をする事にした。

ちらとさららの方を見たらすげービミョーな顔をしていた。

考えることは一緒だな。





特筆することが無いまま放課後に。

「さららー、生徒会行くぞ」

「…あんまり気が進まないけどね」

「ま、しょうがないだろ」


そんなことを話ながら、生徒会室へ向かう。

ウチの学校は二つの校舎があって一つは学生用の校舎で下から、一年、二年、三年生の教室となっている。職員室は一年の教室の端にある。


それでもう一つの校舎は特別棟で、化学室だったり音楽室だったり図書室だったりがある。

生徒会室もこの棟だ。

だから俺たちは校舎と校舎の間の中庭を通り生徒会室へ向かった。



…なんということでしょう。

生徒会室の扉を開けるとそこには、桃源郷が広がっていた。

な、なんだ!?此処は天国か!?


「ちょっとーどうしたの?早く中に入っ…て……」

あまりのことに言葉を失うさらら。

うん、分かるよその気持ち。

俺だって信じらんないもん。


あの小夜さんがメイド服を着ているなんて…


「わっ!志乃介!?み、見るなーっ!」


俺たちに気がついた小夜さんが叫ぶ。

でももう遅い。


「今更ですね。もう脳内にインプット済みですから」

「うー…」


真っ赤になって唸る小夜さん。

ヤバいな…可愛すぎる…


「おー志乃にさららぁ、どう?私の艶姿ぁ?」


おっと、小夜さんが強烈過ぎて他に目が行かなかったようだ。

どれどれ…おー、詩歌もふりふりメイド服着てる!

しかも小夜さんのヤツとは微妙に違うみたいだ。


「似合ってるじゃん、詩歌」

「ふふん、まあ当然かぁ。何たってモデルが綺麗だからぁ」

自分で言うな、自分で。

まぁ事実なんだけどさっ!


「おぉ!志乃介君にさらら君じゃないか!どうだい、僕の作品は?」

「えっ!?これ会長が作ったの?」

「もちろんだ」

「すげー!」


流石会長、計り知れないな…


「なんで…こんなの着てるの…?」

あ、さららが復活した。


「ふふふ、よくぞ聞いてくれた!これは……予算編成大会のための布石なのだっ!」


「布石?」

なんのだか分からなかったから、質問してみた。


「そう、布石だ。我々は大会では映画を流すのだがこれはそのパンフレット……に見せかけた写真集だ」

写真集!?ていうか映画やるんだ!

聞いてなかったよ!

「えっと…つまりどういうことなんですか?」

「うむ、つまり皆のコスプレ姿をとってそれを写真集にして全生徒に配ってやろう、ということだ。まぁなんだな、賄賂みたいなものだな。写真集をやるから票よこせっていう。そのまま渡しても教師の目がアレだからパンフレットみたいにするがな」


うわぁ…あくどい。

しかも上手く行きそうな所が怖い。


「でも、そんなの撮ってて映画まで手が回るんですか?」

「あぁ、映画といっても生徒会のプロモみたいなものだからな。今までで撮ってた日常生活にちょっと色を付けるくらいでなんとかなる」

あー、最近生徒会で会長がビデオ回してのはそのためか…

どこまでも計算ずくだ。


「さて、さらら君。ここに君の分のメイド服があるのだが?」

「…それをどうしろと?」

「いや、僕は君に似合うようにメイド服を作ったから着てほしいなーと思っただけだよ?頑張って作ったからなー着てくれないと悲しいなー。悲しみのあまり君の部屋にあった日記を音読しちゃうかもしれないなー」

「!!?なんでソレを!?盗ったんですか!?」

おりょ?なんかさらら、日記を人質にとられたようだ。

日記なんて読まれたら恥ずかしいだろうなぁ…


「盗っただなんて人聞きが悪い。それにだいたい僕は女性の部屋に勝手に入るなんてマネはしないよ。たまたま『偶然』廊下に落ちてたのを拾っただけだよ」

「…その偶然って綾奈さんって名前じゃありません?」

「さぁどうだろうね。それよりもどうするんだい?着るか着ないか」

「…っく、分かりました!着ますよ、着ればいいんでしょう!」


観念し、そう大声で言うさらら。

諦めろ。全ては会長の手のひらの上だ。

さららは会長からメイド服を引ったくって部屋の隅っこにある仮設の衣装スペースへ向かった。

そんなものまで…

全く…用意がいいな。


「あれ?そういえば綾奈さんは?隼人さんと剛さんもいないみたいですけど…」

隼人さん達はいるか分からんが綾奈さんは間違いなくいるはずだ。なぜなら会長がいるのにあの人がいないハズがないから。


「あぁ、みんな来ているよ。綾奈はメイド服を着たら鼻血を出して倒れたたから、保健室にはこんだ。僕の手作りなのがツボにはいったらしい。隼人君と剛君なら君たちのちょっと前に来て今、そっち側のスペースで衣装に着替え中だ。」

…綾奈さん、自重しよ。いつものことと言えばいつものことなんだけどね。本当、何だかんだであの人一番変態かも知れん。

でも今はそれより気になるワードがあったぞ?それから解決せねば。

「衣装?隼人さん達はなに着てるんですか?」

「彼らは燕尾服だ。メイドと言ったら執事だろう、やはり」

「まぁ頷けますね。あれ?会長は着ないんですか?」

「うん?僕か?僕は着ないぞ?何たってご主人様だからな」

「はぁ…」

「やはり男に生まれたからには一度はメイドさんの奉仕を受けたいだろう?」


分からなくもないって思った俺はもう汚染されてしまったのだろうか…


そんな我が身の不幸について考えていたら不意に会長の目がキラーンと光った。

目がキランと光る、なんて本当にあるんだ…


「志乃介君、君も今うらやましいなと思っただろう?」

「…思ってません。何を言ってるんですか。ありえません。一緒にしないで下さい。」

「いやいや、遠慮などしないでくれたまえ。」

「だから違うと言ってるでしょう。ええ、もう全くもって全然違うのです。だから僕は分かってるよみたいな顔して近づいてこないで下さい。」

「素直じゃないな。君は。ダメだろう?年長者の言うことは聞かなきゃ」

俺の前に人差し指をたててめってやってくる会長。

それは綾奈さんにやってあげて下さいよ。

きっと喜んで従ってくれますよ。

綾奈さんなら常時会長の言葉に従うだろうけど。


「そんな悪い子にはオシオキが必要だな。君もメイドになって修業するんだ」

「いやいやいやいや」

「君に拒否権はないよ。さぁ変身したまえ」

「いやいや、しませんよ?何言ってんですか?」

「ふふふ…コレを見ても同じことが言えるかな?」

てれれてってれ~って感じに後ろ手に隠していた何かを取り出す会長。

そっそれは…


「田丸屋の特選苺大福……!」

一日二十個限定の超レアな逸品がなぜここに…!


「ふっふっふ、君はコレが大好物だろう?ほーら、美味しいぞ~」

くっなんて卑劣なっ!

食べたい!罠だと分かっているのに身体が勝手会長の方へ…

「ハァ…ハア…大福…」

「よし、今だ!詩歌君、さらら君!志乃介君をひっとらえろ!」

ぎゃー、しまったーっ!

いつの間にか着替え終わったいたらしいさららと詩歌に両腕を拘束されてしまった!

しかも詩歌が使った呪術で身体が動かない~。


「う、裏切ったなっ!?」

イタズラ好きな詩歌はともかく、さららまで会長の手助けするなんて!


「ふふふ…志乃も道ずれ…ふっふふ」

暗ーい笑顔でつぶやくさらら。


どうやらさららはダークサイドに落ちてしまったようだ。

誰かージェダイ呼んで来てーっ!


「さぁ君に逃げ場はないぞ!<我が前に本性を表せ>!」

ピカーっ、会長が呪術を言い終えると共に俺の身体が発光しだす。


光は数舜で止み、俺がいた場所には学生服を着た同年代の幻想的な少女が立っていた。


「相変わらず美女っぷりだねぇ」

詩歌がため息と共に言った。

「うむ、きっとメイド服が似合うだろう。カメラを持って来なければ」

ホクホク顔の会長はそう言い残し部屋を出ていった。

一体どこにカメラがあるというのだ…


「さぁ…お着替えしましょうね…ふふふ」

片手にメイド服を持ったさららは腕を拘束したまま俺をずりずり引きずっていく。

ほどきたいのはやまやまだが、詩歌の呪術が完璧キマっているので身体が全く動かない。

頭の中ではドナドナが流れていた。



…さらら、胸デカいな…








もしや!ここ読んでいるということは本文を読んだのでは!?

おぉ何という命知らずな…


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