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ジュンジ~キャテリーヌちゃんの家へ行く~③
「あら、ねぇ。この差出人のところ……」
フジ江さんは伝票をちょっと目から離しつつ、一部分をじっと見つめている。
「コーポ仙田ってまだあるのね? 私が知っているときからすでに、ふっるーいアパートだったけど。あそこさ、隣接するトタンの建物があってね。私はよく知らないんだけど、美容オイルを販売していたのよ」
「美容オイル? 化粧品ですかね?」
「それが飲んでもいいし、肌にはたいてもいいとかで、私も人から勧められたことがあったのよ。でも、何の成分で出来ているのか、どうやって作ってるとか一切、教えてくれないものだから、私は一度も使ったことはないのだけど。なかなかいいものだったみたいよ」
フジ江さんは顔を上げると、遠い記憶をたどるように庭の先を見つめた。
「なるほど……古いアパートの横で美容オイルの販売か……って、その古いアパートに、この伝票の差出人が住んでいるってこと?」
はっとしたジュンジはさりげなくフジ江さんの手から伝票を奪い返す。
差出人の住所には確かに”コーポ仙田”とあり、その名前は”仙田サブ郎”となっていた。




