ジュンジ~ノブオさん、いなくなる~②
言いながらノブオは口いっぱいにあんぱんを詰め込む。
「……ところで、ノブオさんは午後の予定、どうなってます?」
パンパンになっているノブオのほっぺを冷ややかに見ながら、ジュンジはマグカップのお茶をすすった。
「あぁ、午後は……まず荷物の配達に行って、それからキャテリーヌちゃんの散歩だな。そしたらまたここに戻ってくるよ」
「へぇ、荷物か……久々ですね。キャテリーヌちゃんはどうして、ノブオさんにだけ心を許しているんでしょうね? 僕には全然だもんなぁ。あっ、ノブオさん! 今日の夕飯は一緒にどこかへ食べに行きませんか? 今日の夜は母さんと妹が二人で出かけてくるらしくて、父も一人で映画を見に行くとか言ってたので……」
「なんだ、ジュンジは今日、ひとりなのか? それなら一緒に食べに行くか! 久しぶりだし何を食べるかな……じゃ、早めに仕事を片付けないといけないな!」
ノブオは牛乳パックをチュッと強めに吸った。
「それじゃぁ、俺。先に行くわ」
そして、かっこよく背中を向け後ろ頭のところで手を振って会社を後にしたのだが、それがジュンジの見たノブオの最後だった。
夕方になっても夜になっても、ノブオは戻ってこなかったのだ。
「どうしたんだろ、ノブオさん。ケータイもつながらないし、こんなことは今までなかったんだけどな……」
嫌な胸騒ぎを覚えつつ仕方がないジュンジは、いつもより三時間ほど遅く家路についた。




