倫子とノブオ、人面犬との遭遇②
気づけば、ノブオと倫子はウサギ小屋の前まで来ていた。
中から誰かの助けを求める声が聞こえてくる。
「た、た……助けてー!! 誰かー!! 痛っ!? ちょ、ちょっ……痛いって!! いたっ!? やめてー!!!」
小屋の真ん中ではウサギが集まって一匹をいじめているようで、ざわついている。
どうやらその一匹が助けを呼んでいるようだが、どう見ても声を上げられるような人間ではない。
「もしかしてこれが噂の、ウサギ小屋の人面犬か!?」
目を丸くするノブオは、真ん中の黒い背中の一匹を凝視する。
「そうですね……」
かわいそうに、と倫子は顔をしかめた。
「助けてやった方がいいよな? おーい!! どうした、大丈夫か?」
ウサギ小屋の金網になっている扉の外から、ノブオはウサギにいじめられる何者かに声をかける。
「た、たすけ……んっ? その声はもしかして!? ノブオさん!? ノブオさんじゃないですか!? ノブオさん!! 探してたんですよ、僕!! 早く、早く助けて!! 痛っ!! 痛いから!! 早く!!」
「んっ、その声は……!? ジュンジか!? ジュンジなのか!? ちょ、ちょっと待ってろよ!!!」
ノブオは仙人から預かって腰にたずさえていた鍵の束を思い出し、ウサギ小屋のものを探そうとした。
だが、鍵の種類は多く、すぐには見つけられそうにない。
「ごめん……」
「えっ? なっ、なにが!? ごめんって、何!? いぃやぁー!!!」
ウサギ小屋の中から悲痛な叫びが響く。




