76/168
敏也を追いたい④
「だ、大丈夫!?」
先を行きかけた倫子は振り返り戻ってくると、ノブオの顔をのぞき込んだ。
「み、倫子ちゃん……足が、足がつっちゃって……はぁうっ!!」
仰向けに転がりゆらゆらするノブオは、左足のふくらはぎを両手でもみつつ、さすった。
「おじさん!? ど、どうしよう……どうしたらいいですか?」
なんとか手伝ってやりたいとは思うが、手の出しようがない倫子は声をかけるしかない。
「あっ、いや気にしないで……ごめんね。先に行っていいよ。ノブオ君とグラスグリーンを追って……大丈夫、おじさんもすぐに行くから」
「でも……」
倫子は鉄扉に視線を向ける。
すでにノブオ少年とグラスグリーンの姿はなく、走る足音さえも全く聞こえなくなっていた。
痛みで全身から汗を吹き出すノブオも、それにはうすうす気が付いている。
「ご、ごめんね……本当にごめん……も、もう治るから……」
「うううん……いいんです。ゆっくり行きましょう」
はぁはぁと荒い呼吸をしながら足をさすり続けるノブオに、倫子はかぶりを振って優しく微笑んだ。




