首ちゃん⑤
「夜な夜な女子更衣室に入ってんの? そういえば、暗闇でボールつきながら変な唄をうたってたし……怪しくね?」
ノブオ少年はノブオに耳打ちした。
グラスグリーンは自らの肩を両手で抱き、倫子は眉をひそめすぎている。
「いや……いや!? そんな毎晩とか入ってないし!? それに、まりつきは関係なくない!?」
あせった首ちゃんが鼻に汗をかいてきたときだった。
キュルキュルキュルキュル……
ノブオとノブオ少年にはかなり聞き覚えのある、あの音が背後から近づいてくる。
ふたりは自然と固まった。
「ケガ人は……ケガ人……どこ……」
キュルキュルキュルキュル……
「あっ、ここです。ここ!!」
音のする方を向くと、グラスグリーンは明るい声で手を振った。
キュルキュルキュルキュル……!!
ナースが走ってやってくる。そして、首ちゃんの横でぴたっと止まった。
「えっ? なに?」
すっかり右に傾いている顔に、ナースも首を傾け目を合わせるとニッと笑った。
だが、やっぱり目は笑っていない。
「みーつけた」
ナースは首ちゃんの肩を強くつかむと、無理やり車イスに座らせた。
首ちゃんも何のことかわからず、なすがままになってしまう。
「ハハハハ……!! みーつけたっ!!! ハーハハハハハ……!!!」
「なにー!! えー!? なんなのー!?」
首ちゃんをのせた車イスを猛スピードで押しながら、ナースはあっという間に去っていった。
首ちゃんはずっと叫んでいたが、それもすぐに聞こえなくなった。




