集合①
「彼女もね、悪い人ではないんですよ。ただケガしている人を探しまわって、それをやめられないという、かわいそうな人なんです」
トイレから出たグラスグリーンとノブオは、行く当てもないのでとりあえず、並んで廊下の窓から外を眺めていた。
外はもうすっかり夜で、廊下はぼんやりさす月明かりと消火栓の赤い光だけが鈍く光っている。
校舎の裏側を向く窓だったようで、ちょっと遠くにウサギ小屋のシルエットが見えた。
「そう思うと彼女も気の毒だな。誰か大ケガしている人が現れたら、彼女は救われるのかねぇ……いや、ケガしてる人は大変すぎるな……?」
ノブオの頭の中はずっと混乱しっぱなしだった。ふぅと息を吐いて思いつくと、再び口を開く。
「そういえば河ノ沼小学校七不思議は始まったら解決しないといけないって聞いたけど、ナースの彼女も救ってあげないといけないってことか?」
「そうかもしれません。でも七不思議を解決するっていうのも、あいまいですよね。何をもって解決というのか……まぁ、大ケガしている人っていうのには実は一人、心当たりがあるんですけど」
するっと情報を吐くグラスグリーンは、窓枠に両肘をのせて可愛らしく頬杖をついた。
「えっ!? 誰!? ちょっと、もったいぶらないで言ってよ!?」
そんなグラスグリーンの態度にノブオはイライラしている。
「河ノ沼小学校七不思議の中には、体育館に大ケガしている人がいるらしいんです。彼とナースの彼女を引き合わせたらいいかなって……フフッ」
グラスグリーンは遠くを見つめ、笑った。
「そ、そう……」
全身グリーンタイツだし、タイツの下は酸っぱいにおいもするし……やっぱり変な人かもしれないとノブオは改めて怖くなった。
パタパタパタパタッ……
かすかに人が走ってくる音が近づいてくる。
どうやら一人ではない。もう一人分の足音が混ざっているようだ。
誰か来る……そっちを見ながら目を細め、ノブオが身を固くしたときだった。




