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ナースとグリーン③
だが、一向にノックされるでもガチャガチャされることもない。
(あきらめたのか? いや、こういうのはたいてい上からくるんだよ。わかっちゃうんだよなぁ、俺……)
もちろん怖い。怖いが、いろいろありすぎたノブオの感覚は狂いだす。
フッと再び笑って個室の上を見上げた。
「見つけたよぉ!!!」
ニッと女は笑った。目も口も裂けんばかりに開かれている。だが嬉しそうとも楽しそうとも、その顔からはちっとも伝わってこない。
「はぁああ!! やっぱりね!!」
頭のてっぺんから叫んで、ノブオは気を失ってしまった。
和式トイレだった。
壁と壁でできた角のところに背中を預け、足を投げ出し座ってしまい、ノブオは気を失っていた。
そんなノブオの両肩を上からガシガシ揺らし、起こす者がいる。
「起きてください!! しっかり!!」
「うっ……へっ? あぁああ!!!」
足をばたつかせ相手に蹴りを入れようとするノブオは、また気を失いそうになった。
「ちょ、ちょっと……待って!! 大丈夫です、僕は大丈夫なやつですから!!」
青年は手で体を守りながら叫ぶ。
だが、どう見ても大丈夫なやつには見えなかった。
その青年は全身グリーンのタイツに身を包み、この狭い個室のドアの前に立ちはだかるようにしてノブオを見下ろしている。




