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仙人の部屋③
「あ、あの……実は……なんと説明したらいいのか……」
手の中の湯気をじっと見つめながらノブオは困ってしまった。
嘘をつこうかとも考えるが、何も思い浮かばない。それに、仙人には全てを見透かされているような感じもする。
ノブオは今まであったこと、敏也の家に荷物を配達したところから順番に、ぽつりぽつりと話し出した。
仙人は否定することも問いかけることもなく、ただうんうんと静かに耳を傾けた。
「と、そういうわけで……俺はあのお地蔵さまの前までやって来たんです……」
ノブオはすっかり冷めてしまったお茶を一口飲んだ。
「……んっ、それは大変だったなぁ……お前さん、免許証か何か持ってるか?」
「えっ、えっ……? 免許証……」
やっぱり、疑われている……信じてもらえなかったとノブオは悲しくなる。
「財布と一緒に持っていたはずだけど……」
ノブオはさっきまで履いていた自分のズボンのポケットを探す。財布と免許証はあった。
そして、免許証を仙人に差し出した。




