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仙人の部屋②
「福田ノブオです。おじいさんは仙田さんですか?」
「んっ、そうだ。仙田でじいちゃんだから、子供たちからは仙人って呼ばれてるの。ノブオも仙人って呼んでな」
ノブオを振り返って見るおじいちゃんはニコニコしている。
「子供たち……?」
「んっ、俺は昔な、住み込みでそこの小学校の用務員をしてたの。今は親せきの持つこのアパートに住まわせてもらってな。毎日じゃないが、通いでな。今も用務員の仕事をしてるんだ」
お茶の缶をカンカンとやって茶葉を急須に入れ、お湯を注ぐ。ちょっとして、おじいちゃんは急須から二つの湯飲みにお茶を入れた。
「はい、どうぞー」
小さなちゃぶ台に湯飲みが置かれた。
濃い目の湯気がゆらゆらしている。そっと触れたノブオはあちっと小さく声を上げた。
「ところで、ノブオはどっから来たんだ? どうも……この辺の人じゃなさそうに見えるが……?」
仙人はノブオの向かいに座る。




