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出会いと救い②
ふっと顔を上げたノブオは何かに気づいた。
ポッケからびしょ濡れのハンカチを取り出し絞ると、眼鏡をはずしてちょいちょいと拭いた。もう一度かけなおすと水滴が少々落ちて、心ばかり前が見やすくなる。
「お地蔵さまか……」
そこには小さなお堂があって、中にはよく手入れのされているお地蔵さまがいらっしゃった。
生けたばかりの美しい花に囲まれて、赤い頭巾と前掛けをしたお地蔵さまは微笑んでいる。
とても優しいお顔のお地蔵さまに、思わずノブオは話しかけた。
「お地蔵さま、ここはどこなのでしょう? 俺はまた家に帰れますか……あぁー!!! 助けてください!! お願いします!!」
叫んで手を合わせ最後に土下座で救いを求めた。
「んっ、んっ……どうした? お供え用だけども、まんじゅう食うか?」
老年の男性の声だった。
「えっ!?」
でも、お地蔵さまじゃなかった。




