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女子たちとノブオ⑤
そこに三人残っていた女子たちは絶叫し、腰を抜かして尻もちをついた。
彼女ら全員、一人ずつと、ノブオはあえてがっちり目を合わせにいった。
「花子をなめないでちょうだい!!! ふんっ、おどき!!!」
あの高い声が心の底から湧いてきたようにノブオの口から突いて出た。
どうしてこのセリフを発したのか、それはノブオ本人にもわからなかった。
だって本当は走り去ろうと考えていたのに。
一方で、座り込んでしまった女子たちには大きなダメージだったようで、誰も立ち上がる気配はない。
ノブオは堂々と女子トイレを後にする。トイレの外に一歩出た。
「はっ!? 廊下……」
やっぱりそうか、とちょっと思う。そこには昔々の、よく知っていたはずの日常があった。
すぐ前は教室、下は湿っぽいビニールの床で右も左もそれがずっとまっすぐに続いている。
「小学校……やばっ! 早くここを出ないと!!!」
時間はわからないが、外は暗く強い雨が降っていた。




