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追憶の俺たち  作者: 春天アスタルテ
第八話 始まりと儀式(2)
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始まりと儀式(2)④


 もう何もいないと思っていた。もしいたとしても敏也だけだと……


 敏也はうつぶせに倒れているようだった。生きているのかどうかはわからないが、ぴくりとも動く様子はなかったように思う。


 ただその脇に、小さな人影が立っていた。


(メ、メリーさん……立ってた、しかもこっち見てた……目が合った……)


 体の全部を使ってする荒い呼吸と、脂汗が止まらない。


「はぁ、はぁ……」


 それでもノブオはふすまを押さえ続けた。

 

「ねぇ……」


「ひっ……!!!」


 背後から右肩をつかまれた。

 

 目の端の限界まで目玉を動かして、つかまれたその肩を凝視する。


 自分の顔の真横にもう一つ顔がある、そんな気配がする。

 

 相手の息が耳にかかった。


「ねぇ……あなたも行くでしょう」


 機械のような、変な音声だった。


 もう片方の肩も強くつかまれる。


「あっ……あっ……!!!」


 声を上げたがなんともならない。


 そのまま後ろに引っ張られたかと思うと、背中から落ちていく感覚だけが残った。



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