#8 異質な共同生活
それからまたどのくらい経ったのであろう? 人間界で言うならば二日間くらいの時間が経った気がする。しかしそれは、もしかしたら何もせずジッとこの場所にいるから感じたのかもしれない。この世界は、天界と同じく夜が無い。その為時間の概念が乏しくなるのだ。といっても、天界には時計がちゃんとあるが……
とそれはともかく雨は上がり、またオレンジ色の晴れた空が広がる。
瑞希は、怜羅の体の熱がまた少し下がった事を確認すると、体をセフィロトの木に預け怜羅のローブが乾いてきているのが判ったので被せなおす。そして家の外に出た。
先ずは自らの見習い天使服を乾かさなければならない。ちょうちんパンツ姿では自らも恥ずかしいからである。と、いう事で、近場に綱に変わる植物の蔦を探す。洗濯ロープ代わりを探したいというわけだ。
しかし草原や草花のある平地を探してもそんな物はあるはずも無く、宮殿の奥の森を探す事にした。
森には、虫一匹居ない。木や草むらが広がっているだけだ。
「あ、こんな所に良い蔦が有るじゃないか。
それに、天界で見た事がある薬草の形をしたものも……色が違うけど平気か?」
そんな事を言いながら、ドンドンと必要になりそうな物を拾っていく。
そんな時、草むらの向こうに小さな洞窟が見えた。
「あそこなら、雨が降っても大丈夫だな……
怜羅が動けるようになったら此処に連れてこよう……」
本当に原始的だ。でも、致し方ないこと。
「にしてもどうすれば火が熾せるんだ? うろ覚えの見よう見まねで試してみるか……」
そんな事を考えて、乾いている木切れや他に掻き集めた物達をその洞窟に置いておく。
「此処が住処になるな。うん」
瑞希は腰に手を置き、一息つくと、セフィロトのあるあの場所に戻ったのである。
「森の中に、洞窟があったぜ。そちらに移ろうと思う。怜羅、もう、動けるか?」
瑞希は、帰った早々怜羅に問い掛けようと、家の中を覗いた。しかし、問い掛ける必要性は無かったらしい。怜羅は仮の家の中から出て、近くの花畑へと足を伸ばしていたからである。
「あ、こんな所にいたのか……その分だと大丈夫そうだな……って、お前何してるんだ?」
瑞希は、雨露のまだ残っているその花畑に座り込んで何かをしている怜羅に問い掛けた。
「あ、見習い天使……花に溜まっている雨水を飲んでいるのだが、これは凄く甘いのだな」
黄緑色の花に溜まっている雨水。それを、あんな目に遭ったばかりなのに飲んでいる。怜羅は学習能力というものが無いのであろうか……瑞希は呆気に取られて眺めていたが、
「やめとけよ。また何か起こるかも知れないだろう。懲りねえやつ……」
そう言ってみるが、怜羅は止めようとはしない。また一つ花を手折るとそれに口をつけた。
「大丈夫だ。これ以上のことなんて起きはしない。それに、あのセフィロトの木の実は、禁断の果実って物だったのだろう。これはそんなものには思えない」
怜羅の言うとおりで、ただの瑞希の杞憂なのかもしれない。これ以上何になるっていうのか……ロボット? 人造人間? それとも、人間以外の別の生物?
そんな事を考えると、思わず吹き出さずにいられなかった。
「んじゃ、俺も少し飲ませてもらおうかな」
瑞希は、怜羅の隣に胡坐を掻くと、一本の花を手折った。そして、その雨水をスルリと飲む。
「めっちゃ甘いじゃないか。これってもしかして花の蜜が溶け込んでるんじゃないか?」
瑞希は、その花の匂いを嗅ぐ。甘い、蜂蜜の匂いがした。
「そうなのか? 魔界には蜜を作るような花は無いから、不思議だ」
怜羅は、そういうとまた一つ手に取りその蜜を飲む。
「で……話は変わるけど、私を捜していたのだな? 何か有ったか?」
そうだったこんなにのんびりしてる場合じゃない。これはこれで楽しいけれど、それよりも住処だった。
「あ、今度は完璧に雨露を凌げる場所を見つけたんだ。森の中に洞窟があってな。そこに拠点を置こうかなと思う。ちょっと付いてきてくれないか?」
瑞希は、怜羅の腕を取ると、こっちだと促す。
「あのな、言葉で充分だから私に気安く触れないでくれないか。熱が引いたのは見習い天使のお陰だ。しかしそれとこれとは別だ! わきまえろ。それに……」
怜羅はちょっと瑞希の目線から下を見る。
「パンツ姿で歩き回るのも辞めてもらいたい! さっさと着替えろ!」
「あ、忘れてた。まだ乾ききってないから。乾いたら着るさ」
怜羅は、思わずきつい視線を向けたけど、思い出してしまったのであろう。あの肌を重ねた感触を……フッと視線を明後日の方向に向けた。
「はいはい。女王様〜」
もう、この我が侭も慣れてきた。というか、こういう態度が何だか可愛く感じられるので、思わずちゃらける事が出来る。怜羅をネコみたいだなと思わずにはいられなかったりもするのだ。
「何だ。その態度は!」
瑞希のお子様をあやすような台詞が凄く癪に障ったと、赤面しながら返してくる。
「とにかく来いよ。良い按配に家になってるからさ」
「ふん!」
こんなやり取りをしながら、二人は森の奥へと足を運んでいった。
森の中にあるその洞窟。瑞希はそこを提案した。確かに雨は凌げる。だけど、こう光が入ってこないで暗いと明かりが欲しくなるのは当然だったりもする。
「おい。こう暗いと何も見えない。せめて蝋燭が有れば良いのだがな……」
中に入ってみると、よく判る。此処は外の光を遮断する。よって、寝る以外には利用できそうに無いと怜羅は思った。
「それに関してなんだけど、蝋燭ってのは無理だけど、火さえ熾せば何かの木切れで蝋燭代わりになる。それまで少し待ってくれないか?」
瑞希は、そう言って、集めておいた小枝を怜羅に見せた。
「そうなのか。それまで待てば良いのだな。頑張ってくれ」
怜羅は、洞窟の中でゆっくり腰を掛けると、洞窟の壁に背中を預けてまだ少しだけだるい体を休ませた。
「んじゃ、俺は火を熾すとするか!」
瑞希は張り切って原始人になりきったのである。
とはいえ先ずは、蔦を木々の間に張って、服を乾かしておかなければならない。何時までもこんな格好でいると、また怜羅のヒステリーが始まる。と一度間をおいた。それから、火を熾すことにした。
洞窟前で、雨によりしけっていない木々を集め、頭薬となる原料を松脂でカバーしてみる。こんな感じで半裸なことも有り見た目は原始人。
「確かこんな風に木との間に松脂を入れて木を擦り合わせてだな……んでもって、力を入れる配分を考えてだな……」
ゴシゴシと、太い木を足で挟み込むとそれに対して細い木切れで擦る。初めは力を入れすぎて、摩擦を起こすその状態を維持できなかった。でも、次第にコツみたいなものが身についいてきたらしい。次第に木と木の間から煙が昇っていく。
「よし。この調子だ! これなら上手く火が熾せるかもしれないぞ」
こんな時だが、見習い天使の時に吸っていた煙草の事を思い出してしまった。
あの時は天使としての力で火を点けられたから、お手軽なものだったけど、こんな感じで汗を掻きながらも火を熾している自分が不思議だ。というか様になっているのかも疑問だったり。だけど、目の前に確かに火を熾す道具というものを設えているのだから、何とかしなければならない。そんな目先の事を一生懸命行った。
流石に手が痛くなってきた、木切れのささくれで、手の皮が剥けてきたからである。でも、この作業を止める事は出来ない。とにかく、火を熾したい一心でその作業を続けた。
すると、その数秒後火が熾ったのである。それは、瑞希に達成感というものをもたらせた。
「やったー! どうだ、やれば出来るじゃねえか!」
と、火を熾したことを喜んでばかりはいられない。この火を絶やさないように、他の小枝にも移す。何本も何本も。
そうする事で、当分火には事欠かないであろう。そして乾いた服を羽織ると、これを自慢げに見せるために怜羅の元へと駆け出したのである。
洞窟の中に火がともる。それは、温かみをもたらした。
「怜羅。これで当分火を燈せるぜ? 文句はないよな!」
瑞希は誇らしげに松明になったその木を持ってみせる。褒めてくれよなといわんばかりに。
「本当に、火を点けれたのだな。凄い……」
怜羅は、そう言ってその松明を持とうとした時、瑞希の手元が照らし出された。
「見習い天使……手から血が滴ってるぞ……無理をしたんじゃないのか?」
ポタポタと、洞窟の地面に滴り落ちる血を見据えて怜羅は少しうろたえた。
「あ、これか? これくらい平気だ。痛みはそこらへんに生えてる薬草なのかな? と考えられそうなので手当てしておくし、こんな血でうろたえる怜羅は、本当に小悪魔だったのか?」
瑞希は、ニシシシシと笑っておいた。
「ちょっと貸せ。その手……」
瑞希は、怜羅のその言葉に、松明を湿っていない地面に置くと、言われる通りに手を差し出した。
「!」
その手を怜羅は取ると、血を舐め上げ吸い出す。
「……美味くない。まあそんなものか……小悪魔じゃなくなったのだものな……でも、消毒くらいにはなるかもしれない?」
心配してるのか、それとも血を舐めたかったのか。只試してみたかっただけなのか。瑞希には判らなかったが、
「あ、ありがとう……」
思わず礼を言ってしまった。
「別に感謝されるような事はしていない。それ、きちんと薬を塗っておけ!」
感謝される事に慣れてないのかもしれない。そういった気持ちというものに触れてきてなかったのだろうと推測すると、それはそれで可哀相な気もする。と言っても小悪魔が感謝されて嬉しいとは思えないけれど。
「ほ〜い! さて、薬草を煎じますか」
先ずは、それをしなければならない。それにも火が必要だった。だけどそれもう手に入れている。後は水。水は先ほど降った雨の水を使えば良い。この周辺に生えている葉っぱに溜まっているその水をいくらか掻き集めれば事足りる。しかし、それを集める器が無い。
「お〜い。怜羅。何か器になりそうなものねえか? 水を入れて置けそうな器」
瑞希は、洞窟に戻り怜羅に問い掛ける。
「そんなもの有る訳ないだろう……必要なら器になりそうな大きさの葉っぱを持ってきてそれに集めれば良いじゃないか」
怜羅は、一時的に必要ならそれで良いだろうといった。しかし、水の蓄えが必要となるならば、もっと大きな器。バケツや洗面器のような物が必要だなと思う。コップだとその分量は少なすぎるから。
「怜羅、お前まだ体調悪い? 大丈夫そうだったら探してきてくれよ。一人でやってると色んなこと山積みになって頭が疲れる……」
瑞希は、助けを求めてみた。何事も初めが肝心。これから先、怜羅が必要になるならお互いが助け合うしかない。
「私に手伝えというの! そんなのゴメンだわ!」
動くのが辛いというわけでもなさそうだけど、この申し出を断る。我侭此処に健在だ。
「怜羅知ってるか? 人間というのは食べて寝てばかりしてると、太るんだってさ……そのうち怜羅は、こ〜んな大きい体で動く事も出来なくなるぜ?」
瑞希は、腕をオーバーに大きく広げこんな風になるんだぞとその大きさを示した。それは、余りにも大げさに感じられたが、怜羅自身そんなことになってたまるものかと思ったのであろう。
「で、何をすれば良い!」
直ぐ様洞窟から這い出してきて、瑞希の腕を取り上げて問い掛けた。それは、そうなりたくないという気持ちがはっきりと現れていた。
「んじゃ、怜羅は水を溜めて置けそうな葉っぱとやらを探してきてくれないか? 俺は、そこらへんにある木を削ってバケツというか桶のような物を作ってみる。ナイフとかあれば良いんだけどな……」
瑞希は無い物ねだりの様な言葉を吐いた。すると、
「ナイフなら有る……此処に」
怜羅があっけらかんと言ってのけた。それは、怜羅の重厚な服の裏ポケットに装備されていた。ジャックナイフである。
「有るなら、早く出してくれよ……今更ながら出されると、気分が萎える……って、まさかマッチとかライターが有るなんて言わないよな?」
瑞希は、頭をグラングランさせながら問い掛けた。
「有ったら面白かったな……でも残念ながら、それは無い。ナイフは護身用に持ってただけだ。安心しろ」
怜羅は、ふふんと鼻を鳴らしながら言った。
「ああ、さいですか……そりゃ宜しゅうございましたね。って、拗ねていても仕方ない。そのナイフ貸してくれよ」
瑞希はそのナイフを下さいと手を出した。
「私を刺さないと誓えるなら、良い」
今、自分が思わず鼻で笑ったから恨みに思っていたならば嫌だと言いたいのであろうか。怜羅は訝しげに横目でチラリと見た。
「そんな事するわけねえだろう……一人でも人の手が欲しい時に……それに俺は元見習い天使だ。殺生はいただけない」
というのは建て前。今怜羅を失いたくは無いという気持ちのほうが強いのかもしれない。
「そう。なら良い。貸してやろう。後できちんと返してくれ」
怜羅は瑞希にナイフを放ると、踵を返し、もっと森の深い所へと足を運んだ。瑞希はそれを見守って突っ立っていたが、ハッと我に返り近くにある木材を手に取る。そうして、少しずつ桶作りに励むのであった。
そんな頃、瑞希を捜しに亜空間に入り込んだ礼司は、未だその空間からの抜け道を見つけ出せずにいた。心は逸るのに、只それだけで何の成果も得られない。この空間に瑞希達が居る様子は先ずない。ならば、もう既にどこかの次元に入り込んでいる可能性の方が高い。なのに、その次元を見つけられないのだ。
「瑞希様……一体何処へ……」
礼司は焦る。この空間に入る前に痛めた翼は、どくどく血を流している。出血多量で死んだという天使を聞いたことはないが、礼司は天使から悪魔に成り果てようとしていたのだ。何かしら体に異常をきたしているのかも知れない。
そう考えると、この後のことが怖いのだ。実、翼は爬虫類独特の粘りのある黒い鱗にはなってはいないにしろ、色はもう真っ黒。白い羽根はどこにもない。
「うろたえるな……私はもうこれで良い。だけど、諦めるにはまだ早い、もっと上空を捜してみるとしましょう」
礼司は、このとてつもなく広い空間を痛めた羽根を駆使し捜し回る。
その姿は、一つの一途な想いを果たしているように感じられるものであった。
「あ〜疲れた……もうこれくらいで良いだろうか? 漏れたりしないよな?」
木を削りながら、それを少しずつ丸く組み合わせられるようにして、形を整える。と言っても簡易的なものなので、実際使える物かどうかは判断しかねる。
後はこれらの木々を蔦を使って纏めるだけ。瑞希はそれに集中した。そして、程なく簡易版桶が出来上がったというわけであった。
「時間が判らないから、判断できないけど、怜羅の奴遅いな……この作業が終わるまでには帰ってくると思っていたんだけど」
出来上がった桶に今度は取っ手をつけようと思い桶の上の方に二つの穴を開ける。その二つの穴に蔦を通すと、その蔦の両端を結びつける。これで完成だ。
「遅いから、先に水でも汲んでくるか……その頃には流石に帰ってくるだろうよ」
瑞希は、草原の端まで歩く事にした。そう、あの壊れた天秤の下から上ってくる水を汲みに……
「あ、虹が出てるな……人間界とは逆の色の配置だ。光の加減が違うんだろうか? 不思議だな〜」
そんな事を思いながら、瑞希は歩く。後、あの虹の先に有るのは何だろうな〜とか、あの上を歩く事はできないのかな〜とか。非現実過ぎるような空想ばかり。これって、現実逃避とかいうものであろうか? こうなってしまった事に関して文句が今更出ないのは、もう受け入れたという事だろうけど、やっぱり見習い天使の待遇と環境は良かったなと心のどこかで思っているのかもしれない。それが空想に走る。いや、これは空想というより妄想かも知れないが……
そんな瑞希が辿り着いた先、そこには綺麗なオレンジ色の液体が上へ上へと流れていく。
「オレンジジュースだったらまた面白いのに……なんて言ったら贅沢か?」
瑞希はハハハと笑ってその水に手を差し入れると飲んでみる。しかし、水に変わりはしない。
「色って偉大だな……人間界の色に慣れ親しみすぎたって事か? 俺も人間になっちまったけど……」
何てことをぶつくさ言いながら、桶をその流れている川の中に入れて掬い上げる。すると、それは瑞希に水の重みを腕に伝えた。
「何とか水が零れない様に作れたな。自分で自分を褒めてやりたいところだ」
瑞希は、言いながら、立ち上がる。蔦も何とか保っている。意外に頑丈に出来ている事に感心した。と言っても相手は植物。感心も何もない。が、有り難いという気持ちを持った。
「さて帰ろう……怜羅、もう帰ってきてるだろうか……」
そんなちょっとした不安を感じながら。
洞窟まで戻ると、そこには人一人かぶして隠す事が出来そうな真ん中が凹んでいる青色の葉っぱの端を持って怜羅が洞窟の前に座り込んでいた。
「これだけ大きければ、文句無いだろう!
これで、雨水を溜めておく事ができる」
怜羅は、人差し指を立ててそう言い切る。
それは、褒めなさい! と言ってるように感じられた。感謝される事には慣れてないようだけど、褒められることは嬉しいらしい。いやそうされることが当たり前なのだろう。
「ああ、良くこんな大きな葉っぱ見つけて運んでこれたな? すげーよ。怜羅! そんな細腕で」
瑞希は、その思惑通り褒めてあげる。こうすることで怜羅が、自らと同じ位置で行動や考えることが出来れば良いなと思う。でもそれって、只単に仲良く出来れば良いという考え方とは違う気がする。そう、同胞というより、家族? そんな気がするのだ。家族の概念なんて、瑞希には判らない。天使に家族などない。でも、見習い天使での架空家族設定は嗜んできたつもりだ。
それぞれが、主張し、喜び悲しみ。そして分かり合う。
でも、そういう関係を深く共感してきたわけではない。だから、それ以上この気持ちの有難さを知ることは出来ない。でも、今は家族と似てるんじゃないのかなと思い始めている。だけど、それが余りにもこそばゆくて、
「んじゃ、水をこの葉っぱに少しだけ溜めてと……怜羅、そこの草とってくれないか?
これから薬草作りするから……と、後松明も持ってきてくれたら嬉しい」
瑞希は、手を貸してくれと伝える。それに対して怜羅は、
「全く……仕方ない。この元見習い天使は……」
ブチブチ文句を言いながらも、薬作りに手を貸してくれた。それにありがとうというと、怜羅はまた少し頬を染めて照れながら、
「感謝される謂れはない!」
と言う。全く素直じゃない。嬉しいと思うなら、笑えば良いのに。そうしたら可愛いんじゃないだろうか? そう思う瑞希であった。