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第23.5話 決着5

「それじゃ、しずくちゃんへの2度目の失恋に乾杯」

戸松の家に来て早々、紗枝はリラックスムードで諧謔を弄するが、戸松からすればとても情を有するような内容ではない。

尤も、軽い口調とは裏腹に、紗枝は悲しみに満ちた微笑みを浮かべている。


「最高に趣味の悪い音頭をありがとう」

戸松が軽い皮肉で受け流しながら紗枝のグラスに自分のグラスをぶつける。


「で、どんな感じで話をしたの?」

北山に関する部分を除き、流れを掻い摘んで説明すると、紗枝の表情は苦々しいものへと変化する。


「うわぁ……。そりゃないよ、しずくちゃん。涙を見せるのは反則でしょ……。ともあれ、トモの立ち回り方の良し悪しはさておき、とりあえずこれで決着かぁ……。ホントにお疲れ様、トモ」

紗枝の語り口がいつになく優しい。

酔いが回っている状況も相まって、戸松の涙腺が思わず緩んでしまう。


「あんたにはいつかきっといい人が見つか……。いや、見つかるかな?引きこもりなトモにそんな出会いの場があるのかな……。ねぇ、あたしの周りで良さげな人を見繕って紹介しようか?あ、ゆいっちなんでどうよ?」

弟への慣れない慰めは、よりにもよって戸松の急所を的確に抉ってくる。


「うわぁ、そういうこと言う?惟子さんに怒られろ」

努めて平静を装って言い返すも、戸松の心臓は早鐘のように鳴っている。

紗枝に教えている以上の繋がりが二人に嘗てあったことを、実は彼女も感づいているのではないか、そんな疑念が首を擡げる。

とはいえ、探りを入れてしまったら、それを切っ掛けに紗枝は自身の想像が正しかったことに気づくであろう。


「まぁ、誰にせよ、いい人ができたら姉ちゃんに教えなさい」

北山のことではヒヤリとさせられたものの、意気消沈していた中で姉が来てくれたことはやはり嬉しく、その日は二人して語り合って夜を明かした。

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