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第23.3話 決着3

「そうよ……。惟子さんとトモの関係を知りもしないで、あんな無様なふるまいをしていたのよ。これであなたとどう向き合えばいいの?……分かってる、すべて私の自業自得だって。でも、どうすればいいのか分からないのよ……」

泣きじゃくる真似はしないものの、眦に光る雫は香坂の気持ちを雄弁に物語っている。

北山との会話を聞かれていたことは青天の霹靂であり、戸松の顔が驚愕に歪む。

一方で、確かに彼女が戸松を避け始めたのはあの頃だったな、と今さらながら得心する。


「そうか、あの時の会話を聞いていたのか……。ただ、惟子さんはそんなことを考える人ではないし、浮わついた気持ちになっていたのは俺も同じだ。しずくだけが思いつめる内容じゃないよ」

香坂を宥めにかかるも、戸松の言葉は気休めにならないようで、彼女の表情は一層陰鬱さを増していく。


「ねぇ、私たちがこうして再会したのってやっぱり間違いだったのかな?」

もはや何を答えたところで、望むべく結末を迎えられないことは自明であり、戸松は沈黙を貫き通すしか選択肢を持ち合わせていない。

尤も、戸松が望む結末とは何処にあるかすら考える気力は湧かない。


「トモと再会しなければ、惟子さんとのことも知ることなく、こうして心を引っ掻き回されることはなかったのかな……」

尚も香坂は畳み掛ける。

付き合っていた当時、そもそも別れを切り出したのは香坂であった。

であるにもかかわらず、彼女の発する言い分は戸松からすれば身勝手極まりないものに感ぜられ、何故あの時別れを切り出したのかを香坂へ問い詰めたい衝動に駆られる。


「どう考えようとも、こういった形で再会した以上、俺としずくは仕事の関係者でしかなくて、それ以外の関係にはなりようがないんだよ……」

今にも叫びだしたい欲求をグッと堪え、机の下でこぶしを握り締めながら、そっと香坂を突き放す。


「そんなことは分かってるの!私が聞きたいのはそんな言葉じゃないんだよ……」

香坂の絞り出すような声に、戸松はたじろぐことしかできなかった。

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