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第22.6話 父娘6

須川の父との面会日時までの間に、田中と戸松の両名は情報収集のため叔母の山本や香坂から話を聞くことにした。


山本曰く、

「まぁ、兄さんは気難しくて扱いづらいひとだからねぇ……。まぁ、兄とは言え、私が親子間の問題に口を突っ込むのは野暮かなと思って立ち入らないようにしているから、あの二人が直近どんなやり取りをしていていたのかは分からないわ」

とのことであった。

有益な情報は得られなかったかと心の中で落胆していたところ、山本が、ただ……と言葉を続ける。

「彩奈をうちに下宿させるってなったとき、兄さんにしては殊勝な態度で、彩奈を頼むってお願いしてきたのよね。なんだかんだ言っても、あの二人もちゃんと親子で、心の奥底では娘のことをちゃんと想っていると思ったわ」

そう口にする山本の表情は、しっかりと兄を慕っているものであった。


山本へのヒアリングが終わり、次は香坂への聞き取りを行う。

新垣と種田への共有はもう少し事態がはっきりしてからの方がいいとの結論になり、事情を知っている彼女だけを呼び出すこととした。


「私だけに聞きたいことって何でしょうか」

田中からの呼び出しに応じ会議室へ入ってきた香坂は、戸松の姿もあることを訝しむ。


「すまん、ちょっと須川ちゃんのことで相談があってね」

戸松絡みのことかと身構えていた香坂は、田中の言葉をすぐに咀嚼しきれずポカンとした表情を浮かべる。

田中が簡潔に経緯と現状を説明すると、香坂の表情が険しくなる。


「何なんでしょう、あの父親。あの時も思っていましたけど、身勝手にも程がありますね」

吐き捨てるような口調からは、香坂が須川の父親に対しどのような感情を抱いているか、ありありと想像できる。


「まぁ、怒る気持ちは尤もだ。とりあえず、俺らとしては、兎にも角にもお父さんの話を聞いてみなければなと思っているんだが、香坂ちゃんも認識している通り、慎重な接し方をしなければならない人みたいでな。そんなわけで、香坂ちゃんが話をした時の印象とか教えてほしくてご足労願ったわけだ」

とりなす田中の言葉に、香坂は得心が行く顔をする。


「分かりました。それで少しでもお力になるのであれば」

快諾した香坂は、自分が関わった部分のいきさつや感触を息巻いて説明する。

しかしながら、実のところ特段有益な情報は得られない。


「なるほど、話してくれてありがとう。一先ず須川ちゃんのお父さんとの話し合いが終わったら、今後の身の振り方も含めてKYUTEのみんなと打ち合わせたいと思う。気を揉ませてすまんが、今しばらく待っていてくれ」

そう田中が香坂に告げると、香坂は首を横に振る。


「いえ、その話し合い、私も同道させてください」

香坂を見やると、まっすぐな視線が戸松と田中の二人を射抜く。


「私も彩奈のことを大事に思っていますし、このことでは関わりを持っている手前、無責任に見過ごすことはできません」

香坂の言葉に、田中はポリポリと頭を掻く。

「んー、今回ばかりはなぁ……。責任者と保護者の話し合いである手前、香坂ちゃんを巻き込むのはちょっと筋が通らないかな。心配してくれるのはありがたいけどね」

田中の結論に香坂が不服そうな顔つきをする。


「いいんじゃないでしょうか、参加してもらっても。田中さんの言う通り、実際にやり取りをするのは我々ですけど、須川さん本人も当事者である以上、話し合いの場にはいてもらうことになります。彼女を傍でフォローしてもらった方が、冷静に話し合いを進められるかなと思いますよ」

戸松の提案に、田中が思案深げな表情を見せる。


「それもそうだな。須川ちゃんがOKしたらではあるんだが、彼女の付き添い頼んでいいかな?ただ、さっきも言った通り、話し合いはあくまで俺たちでやるから、須川ちゃんのフォローに徹してくれると助かる」

「分かりました。こちらこそ私の我儘を聞いてくださってありがとうございます」

香坂の表情はやる気に満ち溢れていた。


6月に入ってから忙しく、執筆になかなか取り組むことができませんでした。

もう少し時間を捻出できるよう頑張ります……。

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