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第22.4.4話 父娘4.4 -the Past of Ayana-

作戦会議から3日後、新垣から呼び出され大学構内のカフェテリアへ種田と連れ立って向かう。

自動販売機で紅茶を購入し辺りを見回すと、やや奥まった席で新垣が一人の女性と談笑しているのが見て取れる。

二人のもとへ近づくと、新垣が私たちに気づき手を大きく振りかぶる横で、羞月閉花という言葉を体現したかのような麗人が会釈をする

戸惑いつつも座席に着くと、新垣が悪戯めいた笑みを浮かべる。


「はいはい、お疲れー。この前話していたことだけど、この子にヒントを貰おうかなって思ってさ。この子は香坂しずくちゃん。高校2年の時に一緒のクラスでね。それ以来付き合いがあるんだ」

端的に説明を終えると、自分の語るべき内容は終わったとばかりに、ジェスチャーで香坂へ発言を促す。


「須川さん、種田さん、初めまして。香坂しずくです。お二人のことは大学祭のステージでしっかり観ていましたよ。すごくレベルが高くて吃驚しました。その後の活動での人気ぶりも含めて、お噂はかねがね」

凛と淀みなく繰り出させる発話は、美しい響きとなって胸に染み入り、返答すべき言葉を紡ぐための思考をストップさせる。

容姿、所作、口調全てが洗練されており、この人と気軽に話をすることが果たして許されるのだろうかという気後れすら感じさせられる。


「初めまして香坂さん。種田優美って言います!ステージ観てくれていたんですね、ありがとうございます!いやー、香坂さんみたいなキレイでカッコいい人に活動を見られていたと思うとなんだか緊張しちゃいますね」

種田の物怖じしない態度で若干気分が解れ、改めて真正面から香坂の双眸に視線を向かわせる。


「こんにちは香坂さん、お会いできて光栄ですわ。私は須川彩奈と申します。今日はお付き合いいただきありがとうございます。おそらく千里ちゃんが無理やり引っ張ってきたんでしょうけど、ごめんなさいね」

普段から上品に振る舞うよう心掛けているが、この瞬間だけは殊更注意して優雅さを堅持するよう努める。


「仰るとおりで。千里にも困ったものです。何はともあれ、お二人ともよろしくお願いしますね。あ、皆同学年のようですし、敬語とか使わないで大丈夫ですよ。あと、是非しずくと呼んでください」

「はいはーい。改めてよろしくね、しずく。私のことも優美って呼んでね!」

「えぇ、よろしく、優美」

あっさり種田と打ち解け、今度はこちらを見やる。

その瞳は何もかも見透かしているようであり、若干の畏怖を覚える。


「よろしくね、しずく。私のことも彩奈って呼んでくれると嬉しいわ」

「彩奈もよろしくね」

香坂へ微笑むと、彼女も笑みを以て応じる。

顔に張り付いた笑みには一部の隙もなく、彼女の素顔を私たちに見せてくれるようになるにはまだまだ時間がかかりそうだな、などと取り留めのないことを考える。


「はいはーい、挨拶も終わったところで、そろそろ本題に入ろっか」

挨拶が一段落したタイミングを見計らい、新垣が話を切り出す。

先ほどとは打って変わり、新垣の口調は真面目なものとなっていた。

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