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第15.2話 露見2

「はいはーい、今日はお疲れ様。乾杯の前に、まずはお偉い音楽プロデューサー様からご挨拶を頂戴したいと思います」

「こんな飲み会で挨拶もへったくれもないですよ……。とりあえず、作詞お疲れ様でした。なかなか消耗が激しい作業だったかと思いますが、無事仕上がってよかったです」

3人でグラスを傾け、子気味好い音を鳴り響かせる。


「さて、さっきまでガチガチに仕事で火花散らしていたわけだし、この場は仕事の話は抜きで無礼講ってことでよろしくね。さてさて、しずくちゃんは今大学生って言っていたけど、どこの大学に通ってるの?」

ビールをグイっと呷った途端、北山が香坂へ絡み始める。


「東樫塚女子大です」

「へー、あそこに通ってるんだ。こんな感じで飲み会とかやったりするの?」

「全然しないですね。KYUTEの活動で忙しくて、サークルやバイトには縁がなない上に、学校も授業を受けに行くだけの状態で」

「まぁ、大売出し中のアイドルだしねぇ。女子大だとそこまで学内で声は掛けられない?」

「んー、たまにかけられますね。今学期は週4で通っているんですけど、1週間のうちに2~3回ぐらいって感じですね」

「そうなんだ。んー、花の女子大生活にアイドル活動かー。自分とはあまりにもかけ離れていて悲しくなってくるわー」

北山が冗談めかして自嘲する。


「いえいえ、惟子さんこそお綺麗ですし、作詞の実力もありますし、羨む人多そうじゃないですか。恋人とかいらっしゃらないんですか?」

北山の言葉を真に受けた香坂が慌ててフォローの言葉を口にする。


「お、それを聞いてきますかー。ま、せっかくだし教えて進ぜよう。2年ぐらい前まではいたんだけど、こっぴどく振られちゃってね。それ以来ずっとさみしくお一人様ですよ。ってか、しずくちゃんはどうなの?今はともかく、以前付き合っていたひととかいないの?」


「っ……。昔一人だけ、少しの間ですけど付き合っていたことがあります……。って、現役アイドルがそんなこと暴露しちゃダメですよね」

完全に話題の矛先を誤っていたことに気づいた香坂は一瞬言葉を詰まらせ、そして動揺からうっかり口を滑らしてしまう。


「えっ、そうなんだ!ねぇねぇ詳しく聞かせてよ。相手はどんな子だったの?中学の時だったら、智久君も知っている人かな」

故意犯で言っているのか、北山が的確に二人の急所を抉る。


「いえ、いたって普通の人でしたよ。とりたてて面白い出来事もなかったので、ご期待に添えられずすみません」

「いいのいいの。私も突っ込んで質問しちゃったわね」

「いえいえ、恋愛の方向に話を持って行ったのは私ですし。」

その後は穏やかな雰囲気で四方山話をしつつ、お酒も進んでいく。


「すみません、ちょっとお手洗いに」

盛り上がっていた話がちょうど区切りよくなったタイミングでで香坂が中座する。

戸松と北山の二人きりになった部屋には一瞬の静寂が訪れる。

北山が戸松をじっと見つめるため、戸松は落ち着きなさげに軽く身じろぎをする。

「どうしたんですか、惟子さん」


「んー、どうしようか迷っていたんだけど、やっぱりこれは言うべきなのかな」

逡巡し、やがて覚悟を決めたように北山が口火を切った。


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